「EVシフトで町工場が消える」は本当か?生き残るための3つの選択肢
EVシフトで町工場が消える?生き残る3つの選択肢

電気自動車(EV)シフトの加速により、エンジンやトランスミッションなどガソリン車向け部品を主力とする中小町工場の存続が危ぶまれている。しかし、すべての町工場が消え去るわけではない。適切な戦略を取れば、新たな成長の道も開ける。

EV化で部品点数は3分の1に

経済産業省の試算によれば、EVの部品点数はエンジン車の約3万点から1万点程度に減少するとされる。特にエンジン、排気系、燃料系の部品はほぼ不要になり、これらの分野に特化してきた中小企業は大きな打撃を受ける。全国の自動車部品サプライヤー約1万社のうち、半数以上が何らかの影響を受けるとの見方もある。

選択肢1:EV向け部品への転換

第一の選択肢は、EVに必要な部品へ生産をシフトすることだ。例えば、モーターのコアとなる電磁鋼板の打ち抜き加工や、バッテリーケースの溶接技術は、従来のプレス加工や溶接技術の応用で対応可能なケースが多い。愛知県の老舗プレスメーカーA社は、エンジン部品からEV用モーター部品へ転換し、売上高を3年間で2倍に伸ばした。同社社長は「技術の核は同じ。顧客のニーズを先読みして設備投資を決断した」と語る。

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選択肢2:異業種への転換

第二は、自動車以外の分野へ事業を多角化する方法だ。航空機、医療機器、ロボットなど、精密加工技術を活かせる市場は多い。大阪の町工場B社は、自動車部品の切削加工から半導体製造装置部品へ転換。半導体需要の拡大を追い風に、受注は前年比30%増となった。中小企業庁の補助金制度を活用し、5軸加工機を導入したことが転換のきっかけとなった。

選択肢3:M&Aによる生き残り

第三の選択肢は、同業他社との統合や大手企業への事業売却だ。単独では生き残りが難しい場合でも、規模を拡大することで受注力を高めたり、技術を継承したりすることができる。2023年には、自動車部品メーカーによるM&A件数が過去最高の50件を超えた。M&A仲介会社の担当者は「後継者難もあり、事業承継を兼ねたM&Aが増えている。買い手側もEV対応の技術や顧客基盤を求めて積極的だ」と説明する。

政府支援と地域の取り組み

政府も町工場の構造転換を後押しする。経済産業省は2024年度予算で、中小企業のEV対応投資に対する補助金を拡充。また、都道府県レベルでも産学連携のコンソーシアムが設立され、技術研修やマッチング支援が行われている。例えば岐阜県では、県内の金属加工業者を対象に、EV向け部品の試作から量産までを一貫支援するプロジェクトが始動。参加企業からは「単独では難しいEV参入のハードルが下がった」との声が聞かれる。

変化を恐れず、積極的な経営判断を

EVシフトは町工場にとって確かに大きな試練だが、同時に新たなビジネスチャンスでもある。過去にも、オイルショックや円高不況を乗り越えた町工場は多い。必要なのは、現状に甘んじず、技術の棚卸しと市場の見極めを行い、早めの経営判断を下すことだ。生き残るか消えるかは、変化への対応力にかかっている。

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