「いっそ全員出社にして」出社とテレワークの不公平感はなぜ生まれるのか:キレイごとナシのマネジメント論
出社とテレワークの不公平感はなぜ生まれるのか

ある職場で、出社している社員がこうつぶやいた。「なぜ自分だけ電話番をしなければならないのか」。テレワークをしている同僚は、涼しい顔でオンライン会議をこなしている。自分だけが来客対応や電話対応に追われている。

このような不公平感が積もり積もった結果、「もう全員、出社にしてください」「私はこんなに暑い中でも毎日出社しているんです」という声が上がるのだ。

実際このロジックで出社回帰を進める企業は少なくない。「公平性を保つため」という理由は、一見すると誰もが納得しやすい大義名分だ。しかし、この判断は本当に公平なのか。

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そこで今回は、こうした不公平感を理由に「全員一斉出社」へ戻る動きを取り上げ、その判断が本当に正しいのかを考えたい。悩ましい働き方に悩む経営者やマネジャーはもちろん、事情を抱えながら働くビジネスパーソンにも、ぜひ最後まで読んでほしい。

なぜ「不公平感」が生まれるのか

テレワークが広がったことで、新しい形の不満が職場に生まれている。出社している社員が、テレワークをしている社員に対して抱く不公平感だ。

電話対応や来客対応、郵便物の受け取りといった業務は、出社しなければ対応できない。テレワークをする人が増えれば増えるほど、出社している人一人当たりの雑務は増えていく。自分の仕事の合間に何度も対応を邪魔され、業務に集中できず、結果として残業が増えることもある。

「なぜ自分だけ雑務をしなければならないのか」「テレワーカーは自分の仕事だけすればいいから、気楽でうらやましい」――こうした不満が、出社組とテレワーク組の間に亀裂を作っていく。

さらにテレワークをする人には、通勤の負担がなく、身支度にかかる手間も最小限で済む。就業直前までプライベートの時間を確保できることも、出社組から見れば「ずるい」と映りやすいのだろう。

「全員一斉にすればラク」という発想

ある営業アシスタントのAさん(23歳)は、実家がラーメン店を経営している。そのため、テレワークなどとてもできないという。「家にそんなスペースはないし、店員やお客さんの声が聞こえてくるんです」

ある総務課のBさん(53歳)は、家に認知症の父親がいる。在宅で仕事をしていると、部屋に入ってきてしまうため、オンライン会議どころではない。

「自分だって、テレワークすればいいんだよ」と軽くしゃべる上司がいるが、家庭にはそれぞれ事情がある。「出社したくてしているわけじゃない。家で仕事できないから、出社しているだけなのに」――このような人も、少なくはないのだ。

不公平感を解消するために「全員一斉に出社させれば公平」という考え方は一見シンプルだが、個々の事情を無視した判断になりかねない。テレワークのメリットを享受できる人もいれば、どうしても出社せざるを得ない人もいる。多様な働き方を認めつつ、不公平感をどう解消するかが、これからのマネジメントの課題と言えるだろう。

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