トヨタ自動車は、水素を燃料とするエンジン車の量産化に乗り出す。2026年にも新型車を投入する計画で、燃料電池車(FCV)に次ぐ脱炭素の柱として位置づける。既存のガソリンエンジン技術を流用できるため、FCVと比べてコストを大幅に抑えられるのが強みだ。
水素エンジンの仕組みと利点
水素エンジンは、水素を燃焼させてピストンを動かす内燃機関。二酸化炭素(CO2)を排出しないため、カーボンニュートラル実現に貢献する。トヨタは2021年のスーパー耐久シリーズに水素エンジン車で参戦し、技術開発を進めてきた。
同社は2023年、水素エンジンを搭載した試作車「GRヤリス」を公開。量産化に向けて耐久性や出力の向上に取り組んでいる。水素エンジンは、FCVに必要な高価な燃料電池スタックや水素タンクが不要で、既存のエンジン生産ラインを活用できるため、コスト競争力が高い。
2026年投入の具体的な計画
トヨタは2026年をめどに、水素エンジンを搭載した量産車を市場に投入する方針だ。具体的な車種は明らかにされていないが、既存のガソリン車をベースにしたモデルが想定される。生産拠点は国内工場を予定しており、年産数千台規模から始める見通し。
トヨタの関係者は「水素エンジンは、FCVと並ぶ重要な選択肢。顧客の多様なニーズに応えるため、技術開発を加速する」と述べている。
業界内外の反応と課題
自動車業界からは、水素エンジン量産化への期待の声が上がる一方、インフラ整備の遅れを指摘する意見もある。水素ステーションは全国に約170カ所と限られており、普及には官民一体の取り組みが必要だ。
また、水素の製造過程でCO2を排出する「グレー水素」から、再生可能エネルギー由来の「グリーン水素」への移行も課題。トヨタは、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルを目指している。
脱炭素戦略における位置づけ
トヨタは、電気自動車(EV)だけでなく、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、FCV、水素エンジン車など、多様なパワートレインを展開する「マルチパスウェイ戦略」を掲げる。水素エンジン車の量産化は、この戦略をさらに強化するものだ。
同社は2030年までに、世界で年間350万台のEVを販売する目標を掲げる一方、水素関連技術にも積極的に投資。水素エンジン車の投入で、商用車やスポーツカーなど、EVではカバーしきれない領域での脱炭素を狙う。



