EVシフト加速でトヨタのサプライチェーン激変、部品メーカー再編の波
EVシフト加速でトヨタのサプライチェーン激変、部品メーカー再編の波

電気自動車(EV)への移行が加速する中、トヨタ自動車のサプライチェーン(供給網)に大きな変革の波が押し寄せている。エンジンやトランスミッションなど従来の内燃機関車向け部品の需要が減少する一方、モーターやバッテリー、インバーターなどの電動化部品の需要が急増。これに伴い、部品メーカーの間では事業再編や新規参入が相次いでいる。

トヨタのEV戦略とサプライチェーンへの影響

トヨタは2026年までにEVの世界販売台数を150万台、2030年には350万台とする目標を掲げていたが、2023年にはこれをさらに上方修正し、2030年までにEVと燃料電池車(FCV)を合わせて年間200万台の販売を目指すと発表。さらに、2030年までにEV向けに5兆円の投資を行う計画だ。こうした攻めの姿勢は、サプライチェーン全体に大きな影響を及ぼしている。

トヨタの調達戦略も変化しており、従来の系列を超えた部品メーカーの活用が進んでいる。特にバッテリー分野では、パナソニックとの合弁会社であるプライムプラネットエナジー&ソリューションズに加え、中国のCATL(Contemporary Amperex Technology)や韓国のLGエナジーソリューションからも調達を拡大。これにより、従来の系列部品メーカーは競争激化に直面している。

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部品メーカーの再編加速

エンジン部品を主力としてきたメーカーは、EVシフトによる需要減少に備え、事業ポートフォリオの見直しを迫られている。例えば、デンソーはエンジン関連部品の生産を縮小し、EV向けの電動化製品や半導体事業に注力する方針を打ち出した。2022年には、エンジン部品の一部を他のメーカーに譲渡するなど、事業再編を加速している。

また、アイシンはトランスミッションなどの駆動系部品から、EV向けのeアクスル(電動駆動モジュール)へのシフトを進める。同社は2025年までにeアクスルの生産能力を現在の2倍に引き上げる計画だ。これらの動きは、トヨタのEV戦略に呼応したものであり、サプライチェーン全体の構造変化を象徴している。

新たなプレーヤーの台頭

EVシフトは、従来の自動車部品メーカー以外の新規参入も促している。例えば、電子部品メーカーの村田製作所は、EV向けの積層セラミックコンデンサ(MLCC)の生産を増強。また、化学メーカーの三井化学は、バッテリー用セパレーターフィルムの生産拡大を計画している。これらの企業は、トヨタのサプライチェーンに新たに加わることで、事業拡大の機会を得ている。

一方で、EV化に伴い必要となるレアアースやリチウムなどの資源確保も課題となっている。トヨタは、サプライチェーンの安定化のため、これらの資源を確保するための投資を強化。2022年には、豪州のリチウム鉱山会社への出資を発表した。

雇用への影響と地域経済

サプライチェーンの変革は雇用にも影響を与えている。エンジン部品の生産縮小により、一部の工場では人員削減が行われる一方、EV部品の生産拡大に伴い新たな雇用が生まれている。トヨタの主要な生産拠点がある愛知県では、地元経済への影響が懸念されており、自治体は新たな産業の誘致を進めている。

トヨタは、サプライチェーン全体での雇用維持に努めるとしているが、部品メーカーによっては事業転換が追いつかず、廃業に追い込まれるケースも出てきている。業界団体の調査によると、2023年には自動車部品メーカーの倒産件数が前年比で20%増加した。

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今後の展望

トヨタは、2030年までにEV販売台数を世界で年間350万台とする目標を達成するため、サプライチェーンのさらなる強化を図る。同社の豊田章男社長(当時)は、「EVシフトは急激に進むものではなく、顧客の選択肢を広げるものだ」と述べていたが、実際には部品メーカーへの影響は大きく、再編の動きは今後も続くとみられる。

また、トヨタは水素エンジン車の開発も進めており、内燃機関技術の一部は生き残る可能性がある。しかし、主要市場である欧州や中国でのEV規制強化を踏まえ、サプライチェーン全体の電動化対応は不可避だ。部品メーカー各社は、技術開発と事業構造の変革を迫られている。