EV販売減速でもトヨタとテスラの明暗、中国勢が猛追する新興国市場の戦略
EV販売減速でトヨタとテスラの明暗、中国勢猛追の新興国市場

世界の電気自動車(EV)市場は、かつてのような急成長から一転し、減速局面に入っている。この環境下で、自動車メーカー各社の明暗が鮮明になってきた。トヨタ自動車はハイブリッド車(HV)への注力が功を奏し、高い収益性を維持している。一方、EV専業の米テスラは販売が伸び悩み、株価も低迷している。

トヨタ、ハイブリッド戦略で利益拡大

トヨタは2024年3月期の連結営業利益が過去最高の5兆3529億円に達した。この好調の原動力は、HVの販売増だ。トヨタのHVは全世界で好調に売れており、特に北米市場では人気が高い。同社はEVへの移行が急激には進まないと見て、HVを中心としたマルチパスウェイ戦略を採っている。この戦略が、EV販売減速の逆風を受けずに済んだ理由の一つだ。

あるアナリストは「トヨタはHVで稼いだ資金をEVや水素燃料電池車などの次世代技術に投資できる。これは持続可能な成長モデルだ」と指摘する。トヨタの2024年3月期の世界販売台数は約1123万台で、そのうちHVは約370万台を占めた。

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テスラ、販売不振と株価下落に苦しむ

一方、テスラは2024年1-3月期の世界販売台数が約38万7000台と、前年同期比で約8.5%減少した。これは約4年ぶりの減少で、市場の期待を下回る結果となった。株価も年初から約30%下落している。テスラは値下げ攻勢に出ているが、利益率の低下を招いており、投資家の間では懸念が広がっている。

テスラのイーロン・マスクCEOは「現在は成長の谷間にある」と述べ、次世代車の投入で巻き返しを図る方針を示している。しかし、市場では「テスラの成長神話に陰りが見える」との声も聞かれる。

中国勢、新興国市場で存在感拡大

EV販売の減速は、新興国市場では異なる様相を見せている。中国の比亜迪(BYD)や上海汽車集団(SAIC)などは、東南アジアや南米などの新興国で販売を拡大している。BYDは2024年1-3月期に約62万6000台のEVを販売し、テスラを上回った。同社は低価格帯のEVを投入し、現地生産も進めている。

新興国市場では、価格が購入の決め手となることが多く、中国勢の低価格戦略が奏功している。また、充電インフラの整備が進んでいない地域では、HVやプラグインハイブリッド車(PHV)の需要も根強い。このため、トヨタのHV戦略も新興国で一定の成果を上げている。

今後の競争構図は?

EV販売の減速は、自動車メーカーの戦略見直しを迫っている。トヨタのようにHVで収益を確保しながら次世代技術に投資するモデルが、短期的には有効かもしれない。しかし、長期的にはEVシフトが再加速する可能性もあり、各社の対応が問われる。

一方、中国勢は新興国市場で地盤を固めつつあり、将来的には先進国市場にも本格的に攻めてくる可能性がある。テスラは次世代車の投入で再成長を目指すが、競争は激化している。今後の自動車業界は、技術と市場の両面で大きな変革期を迎えている。

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