タイ政府、AI有料モデルを最大500万人に無料提供へ スキル底上げ狙う
タイ政府、AI有料モデルを最大500万人に無料提供へ

タイ政府は8月末から、最大500万人を対象に有料のAIモデルを1年間無料で使えるようにする事業を始める。国民のAIスキルを底上げし、高度人材の育成や生産性の向上につなげる狙いだ。

「TH-AI Passport」の概要

事業は「TH-AI Passport」で、15歳以上の国民が対象。対象世代の人口約5900万人のうち、1割弱をカバーする計算だ。米国製の「Claude(クロード)」「Gemini(ジェミニ)」「Chat(チャット)GPT」、中国製の「ディープシーク」など、30種類以上のモデルを政府のプラットフォームを通じて1年間使えるようにし、文章や画像・映像の生成、情報収集などができるようにする。

事業費は約16億バーツ(約77億円)で、31日の事業開始を前に19日から事前登録を開始。登録者数は20日時点で100万人を超えた。

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タイの現状と政府の狙い

タイは1970年代ごろから自動車など製造業の生産拠点が集積し、工業化が進んで「東洋のデトロイト」と称された。ただ、近年の経済成長率は2%程度とマレーシアやベトナムなどの近隣国に後れをとり、賃金上昇と競争力低下により成長が停滞する「中所得国のわな」に陥っているとも指摘される。新事業の創出や技術革新を起こせる高度人材の不足も課題となってきた。

タイ政府は、AIモデルの利用料を自前で払えない学生や労働者らにAIを使う機会を提供することで、国民のAI活用スキルを高めて生産性の向上や社会運営の効率化につなげたい考えだ。タイ政府によると、タイのAI普及率は10.7%で、世界平均の16.3%を下回る。タイ政府は事業を通じて、AI普及率を23%程度に引き上げたい構えだ。

ただ、野党からは、事業の透明性や費用対効果、事業を通じて収集した個人情報の取り扱いなどについて、政府の対応を疑問視する声も上がっている。

マルタなど他国でも同様の動き

一方、地中海の島国マルタは5月、米オープンAIなどと組み、14歳以上の全国民または住民を対象とするAIの無料学習プログラムを開始。2時間程度のオンライン講座を修了すれば、ChatGPTまたは米マイクロソフトの「Copilot(コパイロット)」の有料サービスが1年間無償で使える。オープンAIは、マルタ政府との取り組みが「世界初のパートナーシップ」だとしている。

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