電気自動車(EV)大手テスラの株価が急落している。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の政治的な発言や活動が投資家の間で懸念を広げ、同社の株価は年初来安値を更新した。市場では、マスク氏の政治関与がテスラのブランド価値や販売に悪影響を及ぼすとの見方が強まっている。
株価下落の背景
テスラの株価は、2025年に入ってから約30%下落し、時価総額は大幅に減少した。下落の主な要因として、マスク氏がトランプ前大統領の政権で政府効率化省(DOGE)のトップに就任したことや、欧州の政治イベントでの発言が挙げられる。特に、マスク氏がドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」を支持する発言をしたことが、欧州市場での販売に打撃を与えたとみられる。
販売台数の減少
テスラの2025年第1四半期の世界販売台数は、前年同期比で約13%減少した。欧州連合(EU)では、テスラの新車登録台数が前年同月比で半減するなど、需要の減退が顕著だ。中国市場でも、競合メーカーの台頭によりシェアを奪われている。一方、北米市場では、マスク氏の政治姿勢に反発する消費者がテスラ車の購入を控える動きも報告されている。
投資家の懸念
投資家の間では、マスク氏の政治活動がテスラの経営に悪影響を及ぼしているとの懸念が強まっている。特に、マスク氏がトランプ前大統領と連携して政府効率化省を率いることで、テスラのブランドイメージが損なわれ、長期的な成長に支障が出る可能性が指摘されている。また、マスク氏がテスラの経営に割く時間が減少していることも、懸念材料の一つだ。
ウォール街のアナリストからは、テスラの目標株価を引き下げる動きが相次いでいる。モルガン・スタンレーは、テスラの2025年の販売台数予想を下方修正し、株価の先行きに慎重な見方を示した。また、バーンスタインは、マスク氏のリーダーシップに対する不確実性が株価の重荷になっていると指摘する。
競争の激化
テスラを取り巻く競争環境も厳しさを増している。中国のBYDや米国のリビアンなど、競合他社が新型EVを投入し、価格競争が激化している。また、フォルクスワーゲンやトヨタなどの伝統的な自動車メーカーもEV市場に本格参入しており、テスラの優位性は揺らいでいる。
今後の見通し
テスラの株価が回復するかどうかは、マスク氏の政治関与の度合いや、同社の販売戦略にかかっている。マスク氏が政治活動を控え、テスラの事業に集中する姿勢を示せば、投資家の信頼を取り戻せる可能性がある。しかし、マスク氏が引き続き政治に関与し続ける場合、株価の下落は長期化する恐れがある。
また、テスラは2025年後半に新型車「モデル2」の投入を予定しており、これが販売を押し上げるかどうかが注目される。さらに、自動運転タクシー「サイバーキャブ」の商用化も計画されており、新たな収益源となる可能性がある。しかし、これらの取り組みが実を結ぶまでには時間がかかるため、短期的な株価の回復は難しいとの見方が多い。
テスラの株価動向は、EV業界全体の行方を占う上でも重要な指標となる。投資家は、マスク氏の動向とテスラの業績を注視している。



