中国が自動運転EVタクシーの分野で世界をリードしている。北京や上海など10以上の都市で試験運行が行われており、2025年までに本格的な商用化を目指している。この背景には、政府の強力な支援、EVの急速な普及、そして5Gインフラの整備という3つの要因がある。
政府の強力な支援
中国政府は自動運転技術の開発を国家戦略の一つに位置づけている。2020年には国家発展改革委員会など11の省庁が共同で「智能自動車創新発展戦略」を発表し、2025年までに高度な自動運転機能を備えた自動車の量産化を目標に掲げた。また、各地方政府も自動運転の試験エリアを設け、企業に税制優遇や補助金を提供している。
例えば、北京市は2021年に自動運転タクシーの商用試験を許可し、百度(Baidu)の「Apollo Go」や滴滴出行(Didi Chuxing)のサービスが運行している。上海市も2022年に自動運転タクシーの試験運行を開始し、広州市や深セン市でも同様の動きが進んでいる。
EVの急速な普及
中国は世界最大のEV市場であり、2023年の新車販売に占めるEVの割合は約25%に達した。EVは自動運転技術との親和性が高く、電子制御が容易なため、自動運転の開発が進めやすい。また、中国政府はEV購入に対する補助金やナンバープレート規制の緩和など、EV普及を促進する政策を打ち出してきた。
自動運転タクシーもEVが主流であり、百度のApollo GoはEVの「威馬(WM Motor)」をベースに開発されている。滴滴出行もEVを採用し、低コストで環境負荷の少ないサービスを提供している。
5Gインフラの整備
自動運転には高速かつ低遅延の通信が不可欠であり、5Gはその基盤となる。中国は世界最大の5Gネットワークを構築しており、2023年末時点で約230万の5G基地局が設置されている。これにより、車両とインフラ間のリアルタイム通信が可能となり、自動運転の安全性と効率性が向上する。
また、中国の通信大手である華為技術(ファーウェイ)や中国移動(チャイナモバイル)は、自動運転向けの5Gソリューションを提供している。例えば、華為は車載通信モジュールやエッジコンピューティング技術を開発し、自動運転の実用化を支援している。
今後の展望
中国の自動運転EVタクシーは、2025年までに本格的な商用化が期待されている。百度は2023年末までにApollo Goを10都市で展開し、2025年までに65都市に拡大する計画を発表している。滴滴出行も同様に、自動運転タクシーのサービスを拡大する方針だ。
一方で、技術的な課題や法規制の整備、安全性の確保など、解決すべき問題も残っている。しかし、中国政府の支援と企業の積極的な投資により、中国は自動運転EVタクシー分野で世界をリードし続けるだろう。



