サウジアラビア、中東初のEVブランド「Ceer」を発表
サウジアラビアの公的投資基金(PIF)と台湾の鴻海精密工業(富士康)は、電気自動車(EV)ブランド「Ceer(シール)」を立ち上げると発表した。2025年をめどに、中東初の自国EVブランドとして車両の販売を開始する計画だ。
Ceerは、PIFと富士康が設立した合弁会社として運営される。PIFが株式の過半数を保有し、富士康が技術面を支援する。同社は、サウジアラビア国内での車両設計、製造、販売を手がける。
サウジの経済多角化戦略の一環
このプロジェクトは、サウジアラビアの「ビジョン2030」に基づく経済多角化戦略の一環である。同国は、石油依存からの脱却を目指し、製造業やテクノロジー分野への投資を加速している。PIFは、EV分野への投資を通じて、サウジアラビアを中東のEV製造ハブに位置づけたい考えだ。
サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は声明で、「Ceerは、サウジアラビアの自動車産業におけるリーダーシップとイノベーションの新たな時代を象徴する」と述べた。また、「このプロジェクトは、サウジアラビアの経済多角化と雇用創出に大きく貢献する」と強調した。
富士康のEV戦略との連携
富士康にとって、Ceerは同社のEV事業の重要な一歩となる。同社はこれまで、部品供給や組立サービスを手がけてきたが、自社ブランドのEVを市場に投入するのは初めてとなる。富士康は、2025年までにEV市場で世界シェア5%を目指すとしている。
Ceerの車両は、富士康の「MIHオープンプラットフォーム」をベースに開発される。同プラットフォームは、EVの設計・製造を効率化するためのオープンソースのアーキテクチャで、複数の自動車メーカーが採用している。
2025年発売、価格は未公表
Ceerの最初のモデルは、2025年に発売予定で、セダンとSUVの2車種が計画されている。価格帯は明らかにされていないが、競争力のある価格設定を目指すという。販売はまずサウジアラビア国内で開始し、その後中東地域へ拡大する予定。
サウジアラビア政府は、2030年までに国内の新車販売の30%をEVにする目標を掲げており、Ceerの投入はその達成に向けた重要な施策となる。同国は、充電インフラの整備や購入補助金など、EV普及促進策も同時に進めている。
地域経済への波及効果
Ceerの工場は、サウジアラビア東部のアブドラ国王経済都市(KAEC)に建設される。同工場では年間15万台の生産能力を見込み、直接・間接的に3万人以上の雇用を創出すると期待されている。
PIFのヤシール・アルルマヤン総裁は、「Ceerはサウジアラビアの産業基盤を強化し、高度な技術人材を育成するプラットフォームとなる」と述べた。また、サプライチェーンの現地化を進め、自動車部品の国内調達率を高める方針を示した。



