埼玉県は、電気自動車(EV)の普及を加速させるため、2025年度から新たな補助金制度を拡充する。EV購入に対する補助金を最大30万円に増額するほか、集合住宅への充電インフラ設置を支援する新制度を創設する。これにより、2030年までに県内の充電器設置基数を1万基、EV普及率を10%に引き上げる目標を掲げる。
補助金拡充の詳細
埼玉県環境部によると、現行のEV購入補助金は最大20万円だったが、2025年度からは最大30万円に増額。対象は新車に限らず、中古車でも一定の条件を満たせば補助を受けることができる。また、県内に住所を有する個人および事業者が対象で、一台あたりの補助上限は30万円。予算額は約5億円を見込んでいる。
さらに、集合住宅向けの充電インフラ整備補助も新設。マンションやアパートの管理組合が共用部に充電器を設置する場合、工事費の半額(上限100万円)を補助する。これにより、駐車場のない戸建て住宅に比べて充電環境が整いにくい集合住宅居住者のEV導入障壁を下げる狙いがある。
現状と課題
埼玉県内のEV保有台数は2024年3月末時点で約1万2000台と、県全体の自動車保有台数の約0.6%にとどまる。充電器の設置基数は約2000基で、うち急速充電器は約300基。政府は2035年までに新車販売を全て電動車とする目標を掲げるが、地方では充電インフラ不足が普及の足かせとなっている。
「集合住宅では充電設備の設置が難しいという声が多く寄せられていた。今回の補助金拡充で、EV購入を検討する県民の背中を押したい」と埼玉県環境部の担当者は述べている。
他県との比較
近隣の東京都は2024年度、EV購入補助金を最大45万円に設定し、充電器設置補助も手厚い。神奈川県は最大40万円の補助を実施。埼玉県の30万円はやや劣るが、集合住宅向け補助を新設した点で差別化を図る。また、県は2025年度から、県営住宅や公共施設への充電器設置を義務化する方針も示している。
今後の展望
埼玉県は、補助金に加えて、EVシェアリングサービスの実証実験や、再生可能エネルギーを活用した充電システムの導入も検討。2025年度中に、県内の主要道の駅や高速道路のサービスエリアに急速充電器を計50基追加設置する計画だ。これらの取り組みにより、2030年までに充電器1万基、EV普及率10%を達成し、カーボンニュートラル実現に貢献する方針である。



