中国の電気自動車(EV)市場で、日本車メーカーが深刻な苦戦を強いられている。2024年上半期の日本車の市場シェアは約8%と過去最低を記録し、中国新興メーカーのBYDが約35%のシェアで首位を独走している。この状況を受け、トヨタやホンダ、日産など各社は戦略の抜本的な見直しを迫られている。
日本車シェア低下の背景
日本車メーカーの中国市場での苦戦は、EVシフトへの対応の遅れが主因だ。中国政府は2035年までに新車販売の半数以上をEVやプラグインハイブリッド車(PHV)とする目標を掲げ、強力な補助金政策でEV普及を推進している。しかし、日本車メーカーはハイブリッド車(HV)に注力し、EVの投入が遅れた。
特にトヨタは、中国市場向けEVの投入が2022年と出遅れ、2024年上半期のEV販売台数は約1万台とBYDの約60万台に大きく水をあけられている。ホンダも2024年に初の中国専用EVを発売したが、販売は低迷している。日産は既存のEV「リーフ」の販売が伸び悩み、新モデルの投入計画も遅れている。
BYDの躍進と価格競争
BYDは2023年に約300万台を販売し、世界のEV販売でテスラを抜いて首位に立った。同社は中国国内で低価格帯から高級車まで幅広いラインアップをそろえ、2024年には「シーガル」などの低価格EVを投入し、価格競争をさらに激化させている。BYDの広報担当者は「当社の強みは垂直統合によるコスト競争力と、中国市場のニーズに合わせた迅速な製品開発にある」と述べている。
一方、日本車メーカーは中国市場での価格競争に対応できず、値引き販売を余儀なくされている。トヨタの中国合弁会社は2024年上半期に販売奨励金を前年比で50%増やしたが、販売台数は前年割れとなった。ホンダも同様に値引きを強化したが、効果は限定的だ。
現地生産と提携戦略の見直し
日本車メーカーは中国での生産体制の見直しを迫られている。トヨタは広州工場の生産ラインをEV専用に切り替える計画を発表したが、稼働は2025年以降となる見通し。ホンダは2024年に武漢工場でEV生産を開始したが、生産能力は年12万台と限定的だ。日産は常州工場の生産を2025年に停止し、生産能力を削減する方針を示している。
また、中国現地企業との提携も模索されている。トヨタはBYDとの合弁会社で共同開発したEVを2023年に発売したが、販売は低調。ホンダは中国の東風汽車との提携を強化し、2027年までに10車種のEVを投入する計画を発表した。日産は中国の清華大学と共同でEV用バッテリーの研究開発を進めている。
今後の展望と課題
日本車メーカーの中国市場での苦戦は、当面続くとみられる。中国汽車工業協会の予測では、2025年の中国新車販売に占めるEVの割合は40%を超え、日本車のシェアはさらに低下する可能性がある。日本車メーカーはEV投入の加速に加え、ソフトウェアや自動運転技術などで差別化を図る必要がある。
トヨタは2026年までに中国市場向けEVを10車種投入する計画だが、価格競争力の確保が課題だ。ホンダは中国市場での販売目標を2030年に年100万台と掲げるが、現状の販売ペースでは達成は困難とみられる。日産は2026年度までに中国市場向けEVを7車種投入する方針だが、ブランド力の回復が急務だ。
日本車メーカーが中国市場で再び存在感を示すには、EVシフトへの本格的な対応と、中国消費者のニーズに合った製品開発が不可欠だ。価格競争に巻き込まれることなく、技術力や品質で差別化できるかどうかが、今後の生き残りをかけた勝負どころとなる。



