政府は電気自動車(EV)用の蓄電池(電池)の国内生産を支援するため、1兆円規模の基金を新たに創設する方針を固めた。2024年度中に基金の詳細を詰め、2025年度からの事業開始を目指す。関係者への取材で明らかになった。
中国への依存度低減が狙い
EV用電池は現状、世界の約7割を中国が生産している。経済安全保障上のリスクを踏まえ、政府は重要物資である電池の国内生産基盤を強化する必要があると判断した。基金は、電池メーカーや素材メーカーによる工場建設や設備投資の一部を補助する仕組みを想定している。
政府は2030年までに、国内の電池生産能力を現在の約20ギガワット時から、100ギガワット時程度に引き上げる目標を掲げている。今回の基金は、この目標達成のための主要な財源となる見込みだ。
支援対象は生産工程全体
支援対象は、電池の製造工程だけでなく、正極材や負極材、電解液などの主要材料の生産設備も含まれる。また、リチウムやニッケルなどの重要鉱物の安定調達に向けた資源開発プロジェクトも対象とする方向だ。
経済産業省の担当者は「電池はデジタル社会と脱炭素社会の両方に不可欠な基盤技術。官民連携でサプライチェーンを強靱化し、国際競争力を高めたい」と述べている。
企業の動きと課題
国内では、トヨタ自動車やパナソニックホールディングスなどが電池工場の新設・増強計画を発表している。基金の創設により、こうした投資がさらに加速すると期待される。
一方で、人材確保や電力コストの高さなど、国内生産には課題も多い。政府は基金に加えて、規制緩和や税制優遇など総合的な支援策を検討する方針だ。



