EVシフトで変わる自動車産業、部品サプライヤーに迫る生き残り戦略
EVシフトで変わる自動車産業、部品サプライヤーの戦略 (14.07.2026)

電気自動車(EV)シフトの加速により、自動車部品サプライヤーはかつてない変革を迫られている。エンジンやトランスミッションなど、従来の内燃機関車向け部品の需要が減少する一方で、モーターやバッテリー、パワーエレクトロニクスなど電動化関連部品の需要が急拡大している。この構造変化に対応できなければ、多くのサプライヤーが淘汰される可能性がある。

エンジン部品から電動化部品へのシフト

自動車部品業界では、エンジン部品を主力としてきた企業が電動化部品への転換を急いでいる。例えば、ピストンやシリンダーヘッドなどを製造してきた企業は、モーターのコア部品やバッテリーケースなどの生産にシフトしつつある。しかし、電動化部品は従来のエンジン部品に比べて部品点数が少なく、価格競争が激しい。また、新たな技術や設備投資が必要となるため、資金力のある大手サプライヤーほど有利とされる。

業界団体の日本自動車部品工業会によると、2022年度の部品出荷額は前年度比で増加したものの、電動化関連部品の比率はまだ低い。しかし、2030年にはEVの普及率が新車販売の30%を超えると予想されており、電動化部品の需要はさらに拡大する見通しだ。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

サプライヤー間の生き残り競争

こうした環境下で、部品サプライヤーは生き残りをかけて戦略を模索している。一つの方向性は、特定の電動化部品に特化して競争力を高めることだ。例えば、ある中堅サプライヤーはEV用の冷却システムに特化し、高いシェアを獲得している。また、異業種からの参入も相次いでおり、電機メーカーや素材メーカーなどが自動車部品市場に新規参入している。

一方で、従来からの取引関係を維持しながら、徐々に電動化対応を進めるサプライヤーも多い。トヨタ自動車などの完成車メーカーは、サプライヤーと協力して電動化技術の開発を進めており、系列を超えた協業も見られる。しかし、部品点数の減少により、サプライヤーの淘汰は避けられないとの見方もある。

新たなビジネスモデルの模索

部品サプライヤーは、単なる部品供給から、システム全体の設計・開発やアフターサービスなど、付加価値の高いビジネスモデルへの転換を模索している。例えば、EV向けの熱マネジメントシステムや、車載ソフトウェアの開発など、ソフトウェアとハードウェアを組み合わせた提案が重要になりつつある。

また、M&A(合併・買収)を通じて電動化技術を獲得する動きも活発だ。特に、電池関連の技術を持つスタートアップへの投資や買収が増えている。さらに、完成車メーカーとの共同開発や、他業種とのアライアンスも進んでいる。

ある部品メーカーの幹部は、「EVシフトは脅威であると同時に、新たなビジネスチャンスでもある。従来の延長線上ではなく、自らのビジネスモデルを根本から見直す必要がある」と語る。

地域別の動向

地域別に見ると、愛知県など自動車産業が集積する地域では、サプライヤーのEV対応が急務となっている。特に、トヨタ自動車の本拠地である愛知県では、地元サプライヤーがトヨタのEV戦略に合わせて変革を迫られている。一方、九州や東北など、半導体や電池工場の立地が進む地域では、新たなサプライヤーの参入機会が生まれている。

経済産業省のデータによると、自動車部品の輸出額は2022年に約4兆円に達し、その多くがエンジン関連部品である。しかし、EVシフトにより、輸出構造も変化すると予想される。特に、中国や東南アジアなどの市場では、現地のEV需要に対応するための部品供給体制の構築が課題となっている。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ

今後の展望

EVシフトは自動車部品産業に大きな変革をもたらしている。生き残るためには、技術開発力の強化、新たなビジネスモデルの構築、そしてグローバルな視点での戦略が求められる。政府も、サプライヤーの電動化対応を支援するための補助金や税制優遇措置を検討しているが、自助努力が不可欠だ。

自動車部品工業会の調査によると、今後5年間で部品サプライヤーの約3割が事業構造の大幅な転換を迫られるとされる。一方で、電動化に成功したサプライヤーは、成長市場で大きなシェアを獲得するチャンスもある。各社の戦略が、今後の自動車産業の競争力を左右することになる。