電気自動車(EV)への移行が加速する中、ガソリン車向け部品メーカーの経営が危機に直面している。東京商工リサーチの最新の報告によると、2035年までに国内の自動車部品メーカーの約3割が廃業する可能性があるという。これは、EVの部品点数がガソリン車の約3分の1に減少することが主な要因だ。
部品点数の激減が中小企業を直撃
ガソリン車には約3万点の部品が使用されるが、EVではエンジンやトランスミッション、排気系部品などが不要となり、部品点数は約1万点にまで減少する。この変化は、特にエンジン関連部品を主力とする中小メーカーに深刻な影響を与えている。東京商工リサーチの担当者は「部品メーカーの多くは単一品目に依存しており、EVシフトへの対応が遅れている企業が多い」と指摘する。
地域経済への波及効果も懸念
自動車部品メーカーは全国各地に点在し、地域経済の重要な雇用を支えている。廃業が相次げば、関連する雇用や税収にも大きな打撃となる。特に、愛知県や静岡県など自動車産業の集積地では、影響が顕著になると予想される。同報告では「部品メーカーの廃業は、サプライチェーン全体の再編を促す可能性がある」と分析している。
政府の支援策と業界の対応
経済産業省は、部品メーカーのEV関連事業への転換を支援するための補助金制度を設けているが、中小企業にとっては技術開発や設備投資の負担が大きく、活用が進んでいない。業界団体からは「より実効性のある支援策が必要だ」との声が上がっている。一方で、一部の大手部品メーカーはEV向け部品の開発を進めており、業界内での格差が広がっている。
今後の展望と課題
自動車業界全体では、2030年代半ばまでに主要市場でEV販売が過半数を占めるとの見通しがある。この流れの中で、ガソリン車部品メーカーの生き残りは容易ではない。東京商工リサーチの報告は「早期の事業転換が不可欠であり、業界全体の構造改革が急務」と結論づけている。今後の動向として、M&Aや事業提携による再編が加速する可能性が指摘されている。



