世界的なEVシフトの加速により、日系自動車部品サプライヤーの事業環境が大きく変化している。電動化に対応した部品の需要が急増する一方、従来のエンジンやトランスミッション関連部品の市場は縮小傾向にあり、各社は生き残りをかけた戦略転換を迫られている。
電動化部品市場の急拡大
調査会社のデータによると、2023年の世界のEV販売台数は前年比35%増の約1,400万台に達し、市場シェアは18%に拡大した。このトレンドは今後も続き、2030年には新車販売の50%以上がEVになると予測されている。これに伴い、EV向け部品市場も急成長。特に、モーター、インバーター、バッテリー関連部品の需要が高まっている。
ある大手サプライヤーの幹部は「エンジン部品の需要は今後10年で半減する可能性がある。電動化部品の開発と生産体制の強化が急務だ」と語る。同社は2025年までに電動化関連の売上高比率を現在の20%から40%に引き上げる計画だ。
従来部品の縮小と再編の波
一方、エンジンや排気系、燃料系などの従来部品は需要減少が見込まれ、サプライヤー間で再編が進んでいる。2023年には、国内の中小部品メーカー数社が経営統合を発表。業界団体の統計では、2022年度の国内自動車部品出荷額は前年度比2%減の約40兆円で、特にエンジン部品は5%減少した。
専門家は「エンジン部品に依存する中小サプライヤーは、EV対応が遅れると淘汰されるリスクがある。大手との連携や事業転換が不可欠だ」と指摘する。
新たな競争と協業のカギ
EVシフトは、部品サプライヤー間の競争構造も変えつつある。従来の自動車メーカーとサプライヤーの系列関係が薄れ、新興EVメーカーやテクノロジー企業との取引が増加。例えば、ある日系サプライヤーは中国のEVメーカーとモーターの共同開発を進めている。
また、電動化に伴い、ソフトウェアや半導体の重要性が増している。自動車1台に搭載される半導体の数はEVで従来の2倍以上になるとされ、サプライヤーはソフトウェア開発力の強化が求められる。
業界アナリストは「サプライヤーは、電動化部品のコスト競争力と、ソフトウェア・半導体を含むシステム統合能力が勝負の鍵になる」と分析する。
リスクと今後の展望
しかし、EVシフトにはリスクも伴う。需要の急拡大に伴う原材料価格の高騰や、地政学的リスクによるサプライチェーンの混乱が懸念される。特に、レアアースやリチウムなど重要鉱物の調達競争が激化している。また、各国の補助金政策の変更や、充電インフラの整備遅れが需要に影響を与える可能性もある。
日系サプライヤーは、これらのリスクを踏まえた上で、技術開発と事業ポートフォリオの見直しを進める必要がある。電動化への対応が遅れれば、世界市場での競争力を失う恐れがある。一方、適切な戦略を打ち出せば、新たな成長機会をつかむことができるだろう。



