電気自動車(EV)へのシフトが加速する中、自動車部品サプライヤーの間で明暗が分かれている。内燃機関(エンジン)関連の部品を主力とする企業は需要減少に直面し、電動化関連部品を手掛ける企業は急成長を遂げている。
エンジン部品メーカーの苦境
従来のエンジン車に不可欠だった燃料噴射装置やピストン、バルブなどを製造するサプライヤーは、EVの普及に伴い需要が減少。例えば、ある大手部品メーカーは2023年度のエンジン部品売上高が前年比15%減少したと報告している。同社の幹部は「EVシフトは想定以上に速く、部品の受注が急減している」とコメントしている。
こうした状況を受け、多くのエンジン部品メーカーは事業の多角化を迫られている。一部の企業は水素エンジンやハイブリッド車向け部品の開発に注力するが、需要の回復は不透明だ。
電動化部品メーカーの躍進
一方、EV向けのモーター、インバーター、バッテリー関連部品を手掛けるサプライヤーは好調だ。ある電動化部品メーカーは2023年度の売上高が前年比40%増加し、過去最高を記録した。同社のCEOは「EV市場の成長に伴い、当社の製品に対する需要は今後も拡大すると見込んでいる」と述べている。
また、半導体や電子制御ユニット(ECU)など、EVの頭脳とも言える部品を供給する企業も恩恵を受けている。これらの部品はEVの性能や安全性に直結するため、付加価値が高く、収益性も向上している。
サプライチェーンの再編
部品メーカーの明暗は、自動車メーカーの調達戦略にも影響を与えている。多くの自動車メーカーは、電動化に必要な部品を安定的に確保するため、主要サプライヤーとの長期契約を結ぶ動きを加速。一方、エンジン部品メーカーには厳しい価格交渉を迫るケースが増えている。
業界アナリストは「今後5年で、自動車部品サプライヤーの約3割が事業再編を迫られる可能性がある」と指摘。特にエンジン部品に特化した中小企業は、EV関連部品への転換が難しく、淘汰されるリスクが高いとされる。
新たなビジネスチャンス
こうした中、電動化に伴う新たなビジネスチャンスも生まれている。例えば、EVの充電インフラ関連部品や、車両とインフラをつなぐ通信モジュールなど、従来の自動車部品にはなかった分野での需要が拡大。新興企業や異業種からの参入も相次いでいる。
ある調査会社によると、世界のEV部品市場は2030年までに年間平均成長率20%以上で拡大し、市場規模は100兆円を超えると予測されている。この成長を取り込めるかどうかが、部品サプライヤーの将来を左右する。



