EVシフトでエンジン部品大手が岐路に、生き残りへ水素エンジンや半導体に活路
EVシフトでエンジン部品大手岐路、水素エンジンや半導体に活路

エンジン部品大手に迫る構造転換

電気自動車(EV)シフトの加速により、エンジンやトランスミッション向け部品の需要が減少し、自動車部品業界はかつてない構造転換を迫られている。特に、エンジンの回転部分を支えるベアリングは、EVでは必要数が内燃機関車の約半分に減少するとされ、日本精工、NTN、ジェイテクトのベアリング3強は、新たな収益源の開拓が急務となっている。

水素エンジンへの期待

日本精工は、水素エンジン向けの特殊ベアリングの開発を加速。水素エンジンは燃焼温度が高く、従来のベアリングでは耐久性が不十分なため、新たな材料と潤滑技術が必要となる。同社は2025年度までに水素関連事業の売上高を100億円に引き上げる目標を掲げる。NTNも水素エンジン向けの高温対応ベアリングを開発中で、2024年度中の量産開始を目指す。

半導体製造装置向けにシフト

一方、ジェイテクトは半導体製造装置向けの精密ベアリングに注力。半導体需要の拡大に伴い、製造装置に使われるベアリングの需要も増加している。同社は2025年度までに半導体向け売上高を現在の2倍の200億円に拡大する計画だ。また、日本精工も半導体製造装置向けの真空対応ベアリングを強化し、2025年度に同事業の売上高を300億円に引き上げる方針。

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EV化で減る部品点数、生き残りへ多角化

エンジン部品の需要減少は避けられない中、各社は既存技術を応用した新分野への進出を急いでいる。NTNは風力発電向けの大型ベアリングに強みを持ち、2025年度までに同事業の売上高を500億円に拡大する目標。日本精工はロボット向けの精密減速機に注力し、2025年度に売上高200億円を目指す。

業界団体の日本ベアリング工業会によると、2022年の国内ベアリング生産額は前年比12.5%増の1兆7,000億円超と堅調だが、2030年にはEV比率の上昇に伴い、エンジン向けが大幅に減少すると予測される。同工業会の担当者は「部品メーカーは生き残りに向け、自動車以外の分野での需要開拓が不可欠」と指摘する。

政府のEV政策も影響

政府は2035年までに新車販売を全て電動車両とする目標を掲げており、EVシフトはさらに加速すると見られる。これに対し、自動車部品メーカーは水素エンジンや半導体、ロボットなど、成長分野へのシフトを余儀なくされている。業界再編の動きも活発化しており、2023年には米国系ファンドが日本精工の株式を取得するなど、資本市場からの圧力も高まっている。

エンジン部品大手の生き残りをかけた取り組みは、自動車産業全体の構造変化を象徴している。各社の新分野への投資が実を結ぶかどうか、今後の動向が注目される。

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