世界的な電気自動車(EV)シフトの加速に伴い、日本の自動車部品業界で大規模な再編が進んでいる。トヨタグループの中核部品メーカーであるデンソー、アイシン、そして住友電工などが、従来のエンジン関連事業からEV向け事業への転換を急ピッチで進めている。
デンソー:EV向け熱管理システムに注力
デンソーは2025年度までにEV向け事業の売上高を現在の2倍に引き上げる計画だ。同社はエアコンやラジエーターなど車両の熱を管理する技術で強みを持ち、EVではバッテリーの温度管理が重要なため、この分野への投資を加速している。デンソーの林宏之社長は「EVの普及はわれわれにとって大きなチャンスだ。熱マネジメント技術で世界トップを目指す」と述べている。
アイシン:EV用トランスミッション開発で生き残り
アイシンは、EV用のトランスミッション(変速機)の開発に注力する。同社は従来のガソリン車向けトランスミッションで世界シェア約3割を占めるが、EVでは変速機の必要性が低いため、新たな技術開発が急務となっている。アイシンは2025年までにEV・ハイブリッド車向けの新製品を投入し、電動化ユニットの売上高を現在の3倍にする目標を掲げる。
住友電工:EV用ワイヤーハーネスでシェア拡大
住友電工は、EVに不可欠なワイヤーハーネス(電線束)の需要増を見込み、生産能力を拡大している。同社のワイヤーハーネスは軽量で高電圧に対応可能で、EVの航続距離延長に貢献する。2024年度にはEV向けワイヤーハーネスの売上高を前年度比20%増とする計画だ。
業界再編の背景と今後の見通し
これらの再編の背景には、世界のEV市場の急成長がある。国際エネルギー機関(IEA)の報告によると、2023年の世界のEV販売台数は前年比35%増の約1400万台に達し、新車販売に占める割合は18%に上昇した。日本政府も2035年までに新車販売の100%を電動車とする目標を掲げており、部品メーカーは生き残りをかけた変革を迫られている。
業界関係者は「従来のエンジン部品の需要は今後10年で半減する可能性がある。各社はEV関連事業へのシフトをさらに加速する必要がある」と指摘する。一方で、EV市場の成長ペースは地域によってばらつきがあり、中国や欧州では急速に普及が進むが、日本や米国ではまだハイブリッド車の需要も根強い。このため、各社はEV一辺倒ではなく、ハイブリッド車や水素エンジン車など複数の技術に対応できる柔軟な戦略が求められている。
自動車部品業界の再編は今後も続くとみられ、デンソー、アイシン、住友電工に加え、他の部品メーカーも同様の動きを強めている。EVシフトは日本のものづくりの強みを試す試練となるが、同時に新たな成長の機会でもある。



