EVシフトが加速する自動車業界
世界的な電気自動車(EV)シフトの加速により、自動車業界のサプライチェーン(供給網)再編が不可避となっている。従来のエンジン車向け部品を主力としてきた部品メーカーは、生き残りをかけて電動化対応や事業再編を迫られている。
特に、エンジンやトランスミッションなどのパワートレイン部品を手掛ける企業は、EV化による需要減少に直面している。一方で、バッテリーやモーター、インバーターなどの電動化部品の需要は急増しており、これらの分野への参入が急務となっている。
サプライチェーン再編の動き
自動車メーカー各社は、EV向け部品の調達体制を強化するため、サプライチェーンの見直しを進めている。例えば、トヨタ自動車は2026年までにEV販売150万台を目指し、バッテリー調達を拡大。日産自動車も2028年までにEV販売比率を40%に引き上げる計画だ。
こうした動きに対応するため、部品メーカーは既存事業の縮小や電動化関連事業へのシフトを加速。デンソーは2025年度までに電動化関連の売上高比率を50%に引き上げる目標を掲げ、アイシンもEV向け部品の開発を強化している。
中小部品メーカーの苦境
しかし、資金力や技術力に乏しい中小部品メーカーは、電動化対応に苦慮している。特に、エンジン部品に特化した企業は、需要減少による売上減少に加え、EV向け部品への転換に多額の投資が必要となる。
こうした状況を受け、業界再編が加速している。2023年には、エンジンバルブメーカーのリケンが電動化対応を目的に、同業のTPRと経営統合を発表。また、ピストンリングメーカの日本ピストンリングも、EV向け部品の開発を強化するため、他社との提携を模索している。
政府の支援策
政府も、こうしたサプライチェーン再編を後押しする。経済産業省は、EV関連のサプライチェーン強化に向け、補助金や税制優遇措置を拡充。特に、中小部品メーカーの電動化投資を支援するため、2024年度予算案に500億円を計上した。
さらに、自動車業界のサプライチェーン全体の強靭化を図るため、官民連携の協議体を設置し、部品の共通化や標準化を推進する方針だ。
EVシフトの加速は、自動車業界に大きな変革をもたらしている。部品メーカーは、生き残りをかけて電動化対応を急ぐとともに、業界再編の波に乗り遅れないよう、迅速な意思決定が求められている。



