EVシフト加速で需要拡大、レアアース代替材料に注目集まる
EVシフトでレアアース代替材料に注目

電気自動車(EV)の普及が世界的に加速する中、モーターに使用されるレアアース(希土類)の代替材料への関心が急速に高まっている。レアアースはEVの駆動用モーターに不可欠な素材だが、その供給の大部分を中国に依存していることから、地政学的リスクや価格高騰が課題となっている。こうした背景から、各国の研究機関や企業がレアアースを使わない、あるいは使用量を大幅に削減したモーター用材料の開発にしのぎを削っている。

レアアース依存からの脱却

現在、EVの駆動モーターには、ネオジムやジスプロシウムといったレアアースを使用した強力な磁石が使われている。しかし、中国がレアアースの輸出規制を強化する可能性や、需要増加に伴う価格高騰が懸念されている。このため、自動車メーカーや素材メーカーは、レアアースの使用量を減らしたモーターや、まったく使用しないモーターの開発を進めている。

例えば、トヨタ自動車は2020年に、レアアースの使用量を約半分に抑えた次世代磁石を開発したと発表した。この磁石は、ネオジムの一部を安価で豊富なランタンやセリウムで代替することで、コスト削減と安定供給の両立を目指している。また、日立金属は、レアアースを使わないフェライト磁石を用いたモーターの研究を進めており、すでに一部の家電製品で実用化されている。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

新たな材料の可能性

さらに、レアアースを全く使わないモーターの研究も活発だ。例えば、スウェーデンの研究チームは、鉄とニッケルを主成分とする新たな磁石材料を開発し、従来のレアアース磁石に匹敵する性能を達成したと報告している。この材料は、資源が豊富で低コストであることが利点だ。また、東京工業大学の研究グループは、マンガンとアルミニウムをベースにした磁石を開発し、実用化に向けた研究を進めている。

こうした代替材料の開発は、EVのコスト削減にもつながる。レアアース磁石はモーターのコストの約20〜30%を占めると言われており、代替材料の実用化が進めば、EVの価格低下に寄与する可能性がある。また、供給リスクの低減は、自動車メーカーにとって大きなメリットとなる。

実用化への課題

しかし、代替材料の実用化にはまだ課題も多い。レアアース磁石の性能は非常に高く、特に高温環境下での磁力維持に優れている。代替材料では、この高温特性を同等に再現することが難しい。また、量産技術の確立やコスト競争力の向上も必要だ。専門家は「実用化にはまだ5〜10年かかる可能性がある」と指摘する。

それでも、各国政府のEV普及政策や脱炭素化の流れは、代替材料開発を後押ししている。欧州連合(EU)は、重要原材料に関する規制を強化し、レアアースのリサイクル促進や供給源の多様化を進めている。日本でも、経済産業省がレアアース代替材料の研究開発に対する補助金を拡充している。

EVシフトが加速する中、レアアース代替材料の開発競争は今後さらに激化すると予想される。この分野での技術革新が、EVの普及をさらに後押しする可能性がある。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ