世界的な電気自動車(EV)シフトが加速する中、中国メーカーが急成長を遂げ、2024年には世界販売台数で日本勢を逆転した。中国勢は低価格戦略とバッテリー技術の革新を武器に、欧州や東南アジア市場でも存在感を高めている。
中国EVメーカーの躍進
中国のEV大手である比亜迪(BYD)や上海汽車集団(SAIC)は、2024年の世界販売台数でトヨタや日産などの日本勢を上回った。特にBYDは、2023年に世界で約300万台を販売し、前年比60%増を記録。同社の低価格モデル「シー」シリーズは、欧州で販売価格2万ユーロを切る競争力を持ち、市場シェアを拡大している。
中国EVの強みは、政府の強力な支援と大規模な生産能力にある。中国は世界のEVバッテリー生産の約70%を占め、リチウムやコバルトなどの重要資源の確保でも優位に立つ。また、自動運転技術やコネクテッド機能の開発でも先行しており、現地のテック企業との連携が競争力を高めている。
日本勢の苦戦と巻き返し策
一方、日本メーカーはEVシフトで遅れをとっている。トヨタはハイブリッド車(HV)に注力してきたが、2024年の世界EV販売台数は約10万台と、BYDの3%未満にとどまる。日産はリーフで先行したものの、新型EVの投入が遅れ、中国市場での販売が低迷。ホンダはGMとの協業を進めるが、収益性に課題を抱える。
日本勢は、2025年以降に新型EVを相次ぎ投入し、巻き返しを図る。トヨタは2026年までに10車種のEVを投入し、年間150万台の販売を目標とする。日産は2028年までにEVのコストを現在の半分に削減する計画だ。しかし、中国勢の低価格攻勢に対抗するには、さらなるコスト削減と差別化技術の開発が不可欠とされる。
世界市場への影響と今後の展望
中国EVの台頭は、自動車産業の地図を塗り替えつつある。欧州では中国車の輸入が急増し、欧州連合(EU)は2024年7月に中国製EVに最大38%の追加関税を課す方針を決定。これに対し、中国メーカーは欧州での現地生産を加速し、関税回避を狙う。
米国でも同様の動きがあり、バイデン政権は中国製EVに100%の関税を課す方針を表明。しかし、テスラなど米国メーカーも中国市場に依存しており、貿易摩擦の激化は世界のEV普及に影響を与える可能性がある。
アナリストは「中国勢の低価格戦略は、新興国市場で特に効果を発揮する。日本勢は高付加価値モデルで差別化するか、中国勢との提携を模索する必要がある」と指摘する。今後のEV市場は、中国勢の攻勢と日米欧の防戦の構図が鮮明になり、競争の激化が予想される。



