電気自動車(EV)への移行が世界的に加速する中、日本メーカーが抱える中国部品への依存度が大きなリスクとして浮上している。経済産業省の試算によれば、EVに使用される主要部品の約4割が中国からの輸入に依存しており、地政学的リスクや供給途絶の懸念が強まっている。
中国依存の実態とリスク要因
特にバッテリー用のリチウムイオン電池材料やレアアース(希土類)は、中国が世界生産の大部分を占める。例えば、リチウムイオン電池の正極材に使われるコバルトの精製工程では、中国が世界シェアの約7割を握る。また、モーター用の磁石に不可欠なネオジムなどのレアアースも、中国の生産量が世界の9割を超える。
こうした状況を受け、日本政府は2023年、経済安全保障推進法に基づき、蓄電池や半導体などを「特定重要物資」に指定。サプライチェーンの強靭化を図る方針を示した。しかし、実際の脱中国依存は容易ではない。
日本企業の対応と課題
トヨタ自動車は、2026年までにEVの世界販売を150万台に引き上げる目標を掲げるが、同社の部品調達責任者は「中国からの調達比率を早期に引き下げるのは難しい」と認める。一方、日産自動車は、米国や欧州でのバッテリー生産拠点を拡大し、中国以外からの調達を増やす方針だ。
専門家は、日本企業が競争力を維持するためには、部品の内製化や代替材料の開発、他国との連携強化が不可欠と指摘する。特に、カナダやオーストラリアなど資源国との協力が重要となる。
政策と産業界の連携
経済産業省は、2024年度から国内のバッテリー生産能力を現在の約20ギガワット時から2030年までに150ギガワット時に拡大する補助金制度を開始。また、レアアースのリサイクル技術開発にも支援を強化する。
しかし、ある自動車部品メーカーの幹部は「補助金だけでは不十分。官民一体で長期的な戦略を練る必要がある」と訴える。EV市場の急拡大に対応するため、日本企業は迅速なサプライチェーンの見直しを迫られている。



