電気自動車(EV)の普及が世界的に加速する中、日本国内では充電インフラの整備状況に地域間格差が生じている。東京都心などの都市部では急速充電器の設置が進む一方、地方部では充電スポットの不足が顕著で、EV購入の障壁となっている。
都市部と地方の充電環境の差
経済産業省のデータによると、2023年末時点で全国の急速充電器の設置基数は約2万基に達した。しかし、その約半数が東京、大阪、愛知などの大都市圏に集中している。人口1万人当たりの急速充電器数は東京都で3.2基であるのに対し、鳥取県では0.8基と4倍の開きがある。
自動車メーカーの関係者は「地方ではEVを購入しても充電に不便を感じるユーザーが多く、販売台数の伸び悩みにつながっている」と指摘する。一方、都市部では商業施設や高速道路のサービスエリアを中心に充電器の設置が進み、利便性が向上している。
政府の補助金と民間の取り組み
政府は2022年度補正予算で充電インフラ整備に約1000億円を計上し、設置費用の補助を行っている。しかし、地方では設置後の維持管理コストが課題となり、採算性の問題から民間事業者の参入が進まない。
ある充電器メーカーの担当者は「地方では利用頻度が低く、投資回収が難しい。自治体の協力なしには整備は困難だ」と語る。これに対し、一部の自治体では公共施設への充電器設置を進めるなど、独自の取り組みを開始している。
EV普及の鍵を握る充電インフラ
業界団体の試算では、2030年までに国内でEVの普及目標を達成するには、現在の約3倍にあたる6万基の急速充電器が必要とされる。特に地方部での整備が急務であり、官民連携による効率的な設置が求められている。
専門家は「充電インフラの格差是正がEV普及のカギを握る。地方でも安心してEVを利用できる環境づくりが不可欠だ」と指摘する。今後、政府の補助金拡充や新たなビジネスモデルの登場が期待される。



