電気自動車(EV)への移行が加速する中、自動車部品メーカーはかつてない再編の波に直面している。従来のエンジン車に比べ、EVは部品点数が約3分の1に減少するとされ、これまで多くの部品を供給してきたサプライヤーは事業の見直しを迫られている。
トヨタ系サプライヤーに再編の動き
トヨタ自動車のグループ企業であるデンソーやアイシンなどは、EV対応に向けて事業ポートフォリオの見直しを進めている。デンソーは2023年、エンジン関連部品の一部事業を他社に譲渡する方針を発表。アイシンもトランスミッション事業の縮小を検討している。これらの動きは、EVシフトが部品メーカーの収益構造を根本から変えつつあることを示している。
トヨタ自身も、EVの生産台数を2030年に350万台とする目標を掲げ、サプライヤーとの協業を強化。しかし、部品点数が減ることで、従来のような大量受注が期待できなくなるため、サプライヤーは新たな収益源の開拓が急務となっている。
再編の背景と今後の展望
EVシフトに伴う再編は、トヨタ系に限らない。日産自動車やホンダも、サプライヤーの統合を促進。特に、電池やモーターなどのEV核心部品への投資が増加しており、従来のエンジン部品メーカーは生き残りをかけた選択を迫られている。業界団体の調査によると、2025年までに国内の自動車部品メーカーの約3割が事業再編を経験する可能性があるとされる。
「EV化は単なる動力源の変更ではなく、サプライチェーン全体の変革を意味する」と、自動車業界アナリストの田中氏は指摘する。部品メーカーは、ソフトウェアや電動化技術へのシフトを加速しなければ、競争力を失うリスクがある。
地域経済への影響も懸念
部品メーカーの再編は、雇用や地域経済にも影響を及ぼす。愛知県や静岡県など、自動車産業が基盤の地域では、工場閉鎖や人員削減の懸念が広がる。トヨタ系サプライヤーのある企業は、工場の統合を進める一方で、従業員の再教育プログラムを導入するなど、対応に追われている。
政府も、EVシフトに対応するため、補助金や税制優遇措置を拡充。経済産業省は、サプライヤーの技術革新を支援する方針だが、中小企業にとっては資金調達や人材確保が課題となっている。



