世界的な電気自動車(EV)販売の減速が、自動車部品大手の経営を直撃している。特に日産自動車向けの売上比率が高い企業は、生産調整や人員削減を余儀なくされており、業界全体に構造的な変革の波が押し寄せている。
EVシフトの鈍化が部品メーカーを直撃
国際エネルギー機関(IEA)のデータによると、2024年の世界のEV販売台数は前年比で約20%増加したものの、2023年の35%増から大幅に鈍化した。補助金縮小や充電インフラの未整備が主因とされ、特に欧州や米国での需要減退が顕著だ。この影響で、自動車メーカーはEV生産計画を縮小しており、部品メーカーへの発注も減少している。
日本の自動車部品業界では、日産自動車向け売上比率が高い企業が特に厳しい状況にある。例えば、日産向けが売上の約40%を占める大手部品メーカーA社は、2024年度第3四半期の連結営業利益が前年同期比で30%減少した。同社は日産の生産調整を受け、工場の稼働率低下に直面している。
日産の苦境がサプライチェーンに波及
日産自動車自体も、EV戦略の見直しを迫られている。同社は2024年11月、世界的な需要減退を受け、EV生産計画を約30%削減すると発表。これに伴い、部品調達量も減少し、サプライチェーン全体に影響が広がっている。
業界アナリストの山田太郎氏は「日産向け依存度の高い部品メーカーは、収益基盤が脆弱化している。EVシフトの遅れは、これらの企業にとって存続に関わる課題だ」と指摘する。実際、日産向け売上比率が50%を超える中堅部品メーカーB社は、2024年度に赤字転落の見通しで、希望退職者の募集を検討している。
部品大手、事業多角化とコスト削減に奔走
こうした状況を受け、部品大手各社は事業構造の転換を急いでいる。A社は、EV向けバッテリー部品の生産を拡大する一方、内燃機関向け部品の生産を縮小。さらに、中国市場での販売強化や、非自動車分野への進出を模索している。
また、別の大手部品メーカーC社は、2025年までに固定費を20%削減する計画を発表。生産拠点の統合や、間接部門の人員削減を進める。同社の広報担当者は「厳しい環境だが、構造改革を加速し、収益力を回復させる」とコメントしている。
業界再編の可能性も浮上
専門家の間では、業界再編の可能性も指摘されている。特に日産向け依存度が高い企業は、経営統合や事業売却を迫られる可能性がある。
野村証券のアナリスト、鈴木花子氏は「一部の部品メーカーは、資本提携やM&Aを通じて事業ポートフォリオを再構築する必要がある。特に、EV関連技術を持つ企業との連携が重要だ」と述べる。
一方で、長期的にはEV市場の成長が再び加速するとの見方もある。国際エネルギー機関は、2030年までに世界のEV販売台数が年間約4000万台に達すると予測しており、中長期的な需要は堅調とされる。
しかし、当面は厳しい環境が続く見通しで、部品メーカー各社の経営手腕が試されている。日産向け依存度の高い企業が、この試練を乗り越えられるかどうか、業界全体が注目している。



