欧州の大手自動車メーカーが、中国の新興電気自動車(EV)メーカーとの提携を相次いで発表している。フォルクスワーゲン(VW)は中国の小鵬汽車(Xpeng)と提携し、ステランティスは零跑汽車(Leapmotor)との合弁会社を設立、ルノーも吉利汽車(Geely)との協業を進めるなど、欧州勢の動きが活発化している。
EV販売減速がもたらす戦略転換
背景には、世界的なEV販売の減速がある。欧州自動車工業会(ACEA)のデータによると、2024年第1四半期の欧州でのEV販売台数は前年同期比で約5%減少した。特にドイツでは補助金打ち切りによりEV販売が急減しており、各社はコスト削減と競争力強化を迫られている。こうした中、中国EVメーカーは低コストで高効率な生産技術を持ち、欧州勢にとって魅力的なパートナーとなっている。
VWは2023年7月、小鵬汽車と戦略的提携を発表。約7億ドルを投じ、2026年までに2車種のEVを共同開発する計画だ。VWのオリバー・ブルーメCEOは「中国市場でのEV競争は厳しく、現地パートナーとの協業が不可欠だ」と述べている。
ステランティス、零跑との合弁で欧州市場攻略
ステランティスは2023年10月、零跑汽車と合弁会社「零跑インターナショナル」を設立。ステランティスが約15億ユーロを出資し、零跑のEVを欧州などで販売する権利を得た。ステランティスのカルロス・タバレスCEOは「零跑の技術と当社の販売網を組み合わせることで、EV市場での競争力を高める」とコメントしている。
ルノーは2023年7月、吉利汽車との協業を発表。両社は内燃機関とハイブリッド車の技術開発で提携し、ルノーは吉利のプラットフォームを活用したEVの生産を検討している。ルノーのルカ・デ・メオCEOは「コスト競争力の高いEVを迅速に市場に投入する必要がある」と述べ、中国勢との連携の重要性を強調した。
中国市場での競争激化と欧州勢の苦戦
中国は世界最大のEV市場であり、2023年のEV販売台数は約760万台に達した。しかし、中国市場では地元メーカーであるBYDや小鵬汽車などが台頭し、欧州勢のシェアは低下傾向にある。VWの中国でのEV販売は2023年に前年比約10%減少し、ステランティスも同市場での販売が低迷している。
こうした状況を受け、欧州勢は中国EVメーカーとの提携を通じて、低コストのEVを自社ブランドで販売する戦略を取る。これにより、開発期間の短縮とコスト削減を図り、中国市場での競争力を回復するとともに、欧州市場でも価格競争に対応する狙いがある。
提携のリスクと今後の展望
一方で、提携にはリスクも伴う。中国EVメーカーの技術力が向上すれば、自社ブランドとの競合が生じる可能性がある。また、欧州連合(EU)は中国からのEV輸入に対して関税引き上げを検討しており、提携による恩恵が限定的になる恐れもある。
専門家は、欧州自動車大手の中国EVメーカーとの提携は、短期的な競争力強化につながる一方、長期的には技術の内製化が課題になると指摘する。コンサルティング会社アリックスパートナーズの自動車担当ディレクターは「欧州勢は提携を通じて中国の技術を吸収し、自社の開発力を高める必要がある」と述べている。



