ダイハツ工業は、電気自動車(EV)の生産能力を強化するため、新工場の建設に着手した。新工場は2027年の稼働を目標としており、年間最大20万台のEVを生産する計画だ。同社はこれまで軽自動車を中心に生産してきたが、世界的なEVシフトに対応するため、生産体制の抜本的な見直しを進めている。
新工場の概要と投資額
新工場は、ダイハツの本社がある大阪府池田市に隣接する土地に建設される。総投資額は約500億円を見込んでおり、最新の生産設備を導入することで、高効率なEV生産を実現する。工場の敷地面積は約20万平方メートルで、生産ラインはフレキシブルに対応可能な設計となっている。
ダイハツの奥平総一郎社長は、「この新工場は、当社のEV戦略の中核をなすものである。2030年までにEVとハイブリッド車(HV)の販売比率を50%以上にする目標の達成に貢献する」と述べている。
EV生産の現状と課題
ダイハツは現在、国内で年間約100万台の車両を生産しているが、EVの生産はまだ本格化していない。同社は2025年までに軽EVを市場に投入する計画を発表しており、新工場はその後の生産拡大を担う。しかし、部品調達や電池の確保が課題となっており、サプライチェーンの構築が急務だ。
また、ダイハツはトヨタ自動車の子会社であり、トヨタのEV戦略とも連携する必要がある。トヨタは2030年までに世界で年間350万台のEV販売を目標としており、ダイハツはその一端を担うことになる。
地域経済への影響
新工場の建設は、地元経済にも大きな影響を与える。建設期間中は約3000人の雇用が創出され、稼働後は約1500人の直接雇用が見込まれる。さらに、関連企業の誘致や周辺インフラの整備も進むと期待されている。
大阪府の吉村洋文知事は、「ダイハツの新工場は、大阪の産業活性化に大きく寄与する。府としても積極的に支援していく」とコメントしている。
競合との比較
国内の自動車メーカーでは、日産自動車やホンダもEV生産の拡大を進めている。日産は2028年までにEV生産能力を現在の3倍に引き上げる計画で、ホンダは米国と中国で新工場を建設中だ。ダイハツは軽自動車で培った小型化技術を活かし、小型EV市場での競争優位を目指す。
一方、海外メーカーとの競争も激化している。中国のBYDや米国のテスラは、低価格EVを大量生産しており、ダイハツはコスト競争力の向上が不可欠だ。新工場では、生産工程の自動化やAIを活用した品質管理を導入し、生産効率を高める方針である。
今後の展望
ダイハツは、新工場の稼働後も、さらなるEV生産能力の拡大を検討している。2035年までに全車種を電動車両にする目標を掲げており、研究開発投資も積極的に行う。特に、全固体電池などの次世代電池技術の開発に注力し、航続距離の延長や充電時間の短縮を目指す。
同社はまた、EVの普及に伴う充電インフラの整備にも協力していく方針だ。自治体や電力会社と連携し、急速充電器の設置を促進する計画である。



