中国の電気自動車(EV)メーカーが欧州市場で苦戦を強いられている。欧州連合(EU)による追加関税の導入と、現地メーカーとの競争激化が主な要因だ。2024年、中国EVの欧州市場シェアは前年から低下し、特にドイツやフランスでの販売が鈍化している。
EUの追加関税が打撃に
EUは2024年7月から中国製EVに最大38.1%の追加関税を課す暫定措置を発動した。これにより、中国EVの価格競争力が大幅に低下。例えば、BYDの主力モデル「アット3」はドイツで約4万ユーロで販売されていたが、関税上乗せ後は約5万ユーロに値上がりし、フォルクスワーゲンのID.4(約4万5000ユーロ)と価格差が縮まった。
市場調査会社JATO Dynamicsのデータによると、2024年上半期の中国EVの欧州販売台数は前年同期比で約15%減少。特に、フランスでの販売は30%近く落ち込み、ドイツでも20%減となった。一方、欧州全体のEV販売は約5%増加しており、中国勢のシェア低下が顕著だ。
現地メーカーの反撃
欧州の自動車メーカーも電動化戦略を加速。フォルクスワーゲンは2024年に新型EV「ID.7」を投入し、価格を約4万ユーロに抑えた。ステランティスも2025年までに低価格EVを投入する計画だ。これにより、中国EVの「低価格」という強みが薄れつつある。
さらに、欧州の充電インフラ拡充も進み、2024年には公共充電器数が前年比40%増の60万台超に。これにより、中国EV独自の優位性は減少している。
BYDは現地生産で対応
中国最大手のBYDは、ハンガリーに工場を建設中で、2025年末の稼働を目指す。同社の広報担当者は「欧州市場へのコミットメントは変わらない。現地生産で関税の影響を緩和し、競争力を維持する」と述べた。しかし、工場完成までは時間がかかり、当面の販売低迷は避けられない。
また、MGを展開する上海汽車(SAIC)も、欧州での販売網を縮小する動きを見せている。同社は2024年7月にドイツの一部ディーラーとの契約を打ち切り、コスト削減を図る。
今後の展望
アナリストは、中国EVの欧州市場シェアが2025年にはさらに低下すると予測する。コンサルティング会社AlixPartnersの試算では、2025年の中国EVシェアは約8%と、2023年の10%から減少する見通しだ。一方、中国国内ではEV需要が鈍化しており、中国メーカーは東南アジアや中東など新興市場への輸出を強化している。
EUは2024年11月までに追加関税の最終判断を下す予定で、中国側は世界貿易機関(WTO)への提訴も検討している。今後の動向が注目される。



