中国バッテリー大手、日本市場で存在感拡大
世界的なEVシフトの加速に伴い、中国のバッテリーメーカーであるCATL(寧徳時代新能源科技)とBYD(比亜迪)が、日本市場での攻勢を強めている。両社は技術力とコスト競争力を武器に、トヨタ自動車や日産自動車など日本の自動車メーカーとの提携を積極的に進めており、日本の電池業界に大きな影響を与えている。
CATLは世界最大のEV用バッテリーメーカーであり、2023年の世界シェアは約37%に達する。同社はトヨタと2020年に包括提携を結び、バッテリーの供給や共同開発を進めている。また、日産との間でも、2024年から新型EV向けにリン酸鉄リチウムイオンバッテリー(LFP)を供給することで合意している。CATLのLFPバッテリーはコストが低く、航続距離も十分であり、普及価格帯のEVに最適とされる。
一方、BYDはバッテリーだけでなく、自動車メーカーとしても日本市場に参入している。BYDは独自開発のブレードバッテリーを搭載したEVを日本で販売しており、2023年には乗用車の販売を開始した。BYDのバッテリーは高い安全性とエネルギー密度を誇り、同社のEVの競争力を支えている。また、BYDは日本の自動車メーカーに対してもバッテリーの供給を提案しており、将来的な協業の可能性が模索されている。
日本の電池メーカー、競争激化に直面
中国勢の攻勢に対し、日本の電池メーカーであるパナソニックホールディングスやGSユアサなどは、技術面での差別化を図っている。パナソニックはテスラ向けに高エネルギー密度の円筒型バッテリーを供給しており、北米市場で存在感を示している。しかし、日本国内市場では中国勢の低コスト戦略に押され、シェアの低下が懸念されている。
日本の自動車メーカーは、バッテリーの安定調達とコスト低減のため、複数のサプライヤーとの協業を進めている。トヨタはCATLのほか、パナソニックとの合弁会社であるプライムプラネットエナジー&ソリューションズ(PPES)からもバッテリーを調達している。日産はCATLに加え、エンビジョンAESC(旧日産自動車とNECの合弁)からも供給を受ける計画だ。
日本政府の戦略と今後の展望
日本政府は、蓄電池産業の競争力強化を重要政策の一つに掲げ、2030年までに国内の電池生産能力を150GWhに引き上げる目標を設定している。補助金や税制優遇措置を通じて、国内メーカーの技術開発や生産拠点の拡大を支援している。しかし、中国勢の急速な追い上げにより、日本の電池メーカーはさらなる技術革新とコスト削減が求められている。
専門家は、日本の電池メーカーが生き残るためには、次世代バッテリーである全固体電池の実用化が鍵になると指摘する。全固体電池はエネルギー密度が高く、安全性にも優れており、EVの航続距離を大幅に延ばす可能性がある。トヨタは2027年から2028年にかけて全固体電池を搭載したEVの量産を目指しており、パナソニックも開発を加速している。
一方で、中国勢も全固体電池の研究開発を進めており、競争はますます激化している。CATLは2023年に全固体電池の試作品を発表し、2025年までの量産を目指すとしている。BYDも固体電池の研究を進めており、日本のメーカーとの差は縮まりつつある。
こうした状況の中、日本市場におけるバッテリー戦争は、技術力とコスト競争力の両面で熾烈なものとなっている。日本の自動車メーカーと電池メーカーは、協力と競争のバランスを取りながら、持続可能なサプライチェーンを構築していく必要がある。今後の動向が注目される。



