中国の電気自動車(EV)最大手である比亜迪(BYD)の2024年の世界販売台数が、初めて400万台を突破する見通しとなった。2024年1月から10月までの累計販売台数は約325万台に達し、前年同期比で36%増加した。このペースが続けば、年間では420万台前後になるとみられる。
海外市場の急成長がけん引
BYDの販売増を支えているのは、海外市場での急成長だ。2024年1~10月の海外販売台数は約32万9000台で、前年同期比で約2倍に増加した。特に東南アジアや欧州での需要が高まっており、同社はタイやハンガリーなどに新工場を建設中だ。
中国国内市場でも、BYDは強さを発揮している。中国政府のEV購入補助金や、同社の低価格モデル「海鷗(シーガル)」の投入が需要を喚起した。シーガルは航続距離300キロ以上で価格は約100万円からと、ガソリン車並みの価格帯を実現している。
世界販売ランキングでトップに
BYDの躍進により、世界のEV販売ランキングでもトップに立った。2024年第3四半期(7~9月)の世界EV販売台数は、BYDが約43万台で首位。2位の米テスラは約46万台と僅差で、年間ではBYDがテスラを逆転する可能性が高い。
テスラは2024年1~9月の販売台数が約129万台で、前年同期比で横ばい。一方、BYDは同約208万台と大きくリードしている。BYDの強みは、電池から車両まで一貫生産する垂直統合モデルにある。同社は自社開発のブレードバッテリーを搭載し、コスト競争力で他社を圧倒する。
課題は利益率とブランド力
ただし、BYDには課題もある。低価格戦略が功を奏する一方で、利益率は低下傾向にある。2024年7~9月期の売上高は前年同期比で11%増の1621億元(約3兆4000億円)だったが、純利益は同4%減の約116億元(約2400億円)と減益となった。値下げ競争が激化する中で、収益性の改善が急務だ。
また、ブランド力でもテスラに劣る。高級車市場では、BYDの高級ブランド「仰望(ヤンワン)」や「騰勢(デンツァ)」の販売はまだ限定的だ。同社は欧州での知名度向上に向け、広告費を増やしている。
BYDの海外戦略
BYDは海外展開を加速している。2024年には日本市場にも本格参入し、乗用車3モデルを発売した。日本自動車販売協会連合会によると、2024年1~10月のBYDの日本での新車登録台数は約1500台と、まだ少ないが、同社は2025年までに販売網を100店舗に拡大する計画だ。
欧州では、2024年10月にEUが中国製EVに追加関税を課す方針を決めたが、BYDはハンガリー工場の稼働で回避を目指す。同工場は2025年末に稼働開始予定で、年産15万台を見込む。
BYDの王伝福(ワン・チュアンフー)会長は「2025年までに世界販売台数でトップ3に入る」と述べており、400万台超えはその通過点にすぎない。



