中国の電気自動車(EV)最大手である比亜迪(BYD)は2024年通期の決算を発表し、売上高が前年比で約30%増加し、初めて1兆元(約20兆円)の大台を突破した。しかし、激しい価格競争を背景に利益率は低下しており、持続可能な成長への課題も浮き彫りとなった。
売上高は1兆元超えも利益率は低下
BYDの2024年通期の売上高は1兆元を超え、前年比で約30%の増加となった。これは同社がEV市場で圧倒的なシェアを誇る背景にある。しかし、同時に発表された純利益は前年比で約11%の増加にとどまり、売上高の伸びに比べて利益の伸びが鈍化した。特に、第4四半期の利益率は前年同期比で約1.5ポイント低下し、価格競争の影響が顕著に表れている。
価格競争が激化する中国EV市場
中国のEV市場では、BYDだけでなく、新興メーカーや従来のガソリン車メーカーも参入し、競争が激化している。BYDは2024年、複数のモデルで値下げを実施し、市場シェアの維持を図った。この戦略は販売台数の増加には寄与したが、一台当たりの利益を圧迫する結果となった。
また、中国政府のEV購入補助金の縮小も、消費者の購買意欲に影響を与えている。BYDはこうした逆風の中でも、新モデルの投入やバッテリー技術の向上により競争力を維持しようとしている。
海外展開と高級車戦略がカギ
BYDは国内市場での成長鈍化を踏まえ、海外市場への展開を加速している。特に欧州や東南アジア市場での販売を強化しており、2024年は海外売上高が前年比で約70%増加した。しかし、欧州連合(EU)による中国製EVへの追加関税の検討など、貿易摩擦のリスクも存在する。
さらに、高級車ブランド「仰望(Yangwang)」や「方程豹(Fangchengbao)」の投入により、高価格帯市場でのシェア拡大を目指している。これらの戦略が成功すれば、利益率の改善につながる可能性がある。
技術開発とコスト削減の両立
BYDは独自のブレードバッテリーやDM-iスーパーハイブリッド技術など、コア技術の開発を進めている。これにより、コスト競争力と製品差別化を両立させようとしている。2024年は研究開発費を前年比で約25%増加させ、技術革新への投資を継続している。
一方で、サプライチェーンの効率化や生産工程の自動化により、コスト削減にも注力している。これらの取り組みが、価格競争下でも一定の利益を確保するための鍵となる。
今後の見通し
BYDは2025年も販売台数の増加を見込んでいるが、市場環境は依然として厳しい。中国国内ではEV市場全体の成長が鈍化しつつあり、海外市場でも競争が激化している。アナリストからは、BYDが利益率の改善を実現できるかどうかが、今後の株価や企業価値を左右するとの見方が出ている。
また、環境規制の強化やカーボンニュートラルへの対応も、BYDにとって重要な経営課題となる。同社はバッテリーリサイクル事業や太陽光発電との連携など、EV以外の分野でも事業を多角化している。
BYDの2024年通期決算は、売上高の記録的な伸びを示す一方で、利益率の低下という課題を浮き彫りにした。今後の海外展開や高級車戦略の成否が、同社の持続的な成長を左右することになるだろう。



