国立研究開発法人「産業技術総合研究所」(産総研)は、松ヤニから黒鉛を製造できることを実験で実証した。黒鉛は半導体や電気自動車のリチウムイオン電池などに欠かせない素材だが、輸入の約9割を中国に依存しており、調達の安定化が課題となっている。
松ヤニ由来の黒鉛で電池動作を確認
研究チームは、松ヤニに含まれる規則的な構造を持つ「アビエチン酸」に着目。酸素を除去するなどの処理を施し、黒鉛の前段階物質を生成することに成功した。実験では松ヤニ100グラムから約8グラムの黒鉛を製造できたという。
この松ヤニ由来の黒鉛をリチウムイオン電池に用いたところ、充電と放電が可能であることも確認された。経済性や性能面では課題が残るものの、炭素繊維などへの応用も期待される。
中国への依存脱却へ一歩
独立行政法人「エネルギー・金属鉱物資源機構」によると、天然・人造黒鉛ともに輸入の約9割を中国に依存している。近年、中国の輸出規制により調達が不安定化しており、原料の多様化が急務となっている。
従来の人造黒鉛は石油や石炭由来の原料から製造される。木炭からの製造も試みられてきたが、炭素構造が乱れやすく、規則的な黒鉛の生成が困難だったという。研究チームは「様々な分野の研究者が集まって成果を得ることができ、喜ばしい」と述べている。
今回の成果は科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。



