気象庁は10月16日、同日昼に発表した過大な緊急地震速報(警報)について記者会見を開き、国民に陳謝するとともに、事の経緯や原因調査の状況を説明した。
過大評価の原因は「システム処理」
10月16日12時38分ごろ、カムチャツカ半島付近を震源とするマグニチュード(M)6.9、深さ約160kmの地震が発生し、北海道釧路市で震度1を観測した。
しかし気象庁は12時40分、緊急地震速報の処理において震源を千島列島と判定し、Mを最大で9.9、最大予測震度を7程度と過大に推定した。このため、北海道から中部地方にかけての広範囲に緊急地震速報(警報)が発表された。
その後、モニター観測で実際の揺れが軽微(最大震度2以下)であることが確認されたため、発表から8分後の12時48分に手動で取り消し情報(キャンセル報)を発表した。緊急地震速報の警報に対する取り消し情報が出されたのは、2007年の運用開始以来初めてだった。
記者会見で陳謝、原因と今後の対応
気象庁は同日14時より1回目の記者会見を開催した。冒頭、担当者は「マグニチュードを実際より過大に推定し、大変なご迷惑をおかけしたことを深くお詫びする」と陳謝した。気象庁は会見の中で以下の内容に触れた。
過大評価の原因については、「ハードウェアの障害ではなくシステム処理(プログラムなど)に起因する」との見解を示した。サイバー攻撃の関与については「システム担当からそうした情報は得ていない」とした。
スマホの警報音、SNSで困惑の声
今回、キャンセル報(取り消し情報)が出された際にも多くの人のスマートフォンで警報音が鳴った。
X(旧Twitter)では、緊急地震速報の取り消し情報に対して困惑や改善を求める声が多く見られた。警報を促す最初の速報だけでなく、取り消しの通知時にも同様に大きな警報音が響いたことへ言及する意見が目立った。
速報の配信自体には一定の理解が示されているものの、取り消し通知についてはアラーム音を消して通知のみにするか、速報とは異なる音に変えるなどの工夫を望む声が上がっている。
さらに、「スマホから予期せぬ大音量が連続して鳴り、非常に困惑・驚怖してほしい」との意見も見られた。不意の警報が重なることによるストレスから、多くの人が緊急地震速報の通知設定自体をオフにしてしまい、災害時の安全確保に支障が出るのではないかという懸念も示されている。
今後の検討課題
今後はキャンセル報では警報音を鳴らさないといった改善を図る考えはあるのか、という質問に対し、気象庁は「現時点ではそのような検討は行われていない。ただし、約20年前の制度導入初期の仕様に基づいて運用しているため、必要に応じて検討は行うべきだと考えるが、現時点で実施するか否かについては言及できない」と回答した。
気象庁は同日夕方から夜にかけて、追加の報道発表(第2回・第3回)を順次行い、技術的な原因と対策を明らかにした。
第2回(17時30分発表)では、日本から非常に遠い震源の地震に対し、国内用のM計算式(※)を適用してしまったこと、M計算用と震度予測用で異なる震源データが用いられていたことが過大予測につながったと公表した。
第3回(22時40分発表)では、震源から700km以上離れた遠方の観測点をM計算から除外する機能(2020年7月の千島近海地震を受けて導入された不整合抑制策)が、今回の地震において正常に動作していなかったことが判明したと発表した。
気象庁は同日21時30分ごろ、この抑制機能が正常に作動するよう緊急対策プログラムを適用し、本件同様の地震に対して過大な警報が発表されないことを確認したうえで、改めて国民へ陳謝した。
※M計算とは、地震の規模を示す「マグニチュード(M)」を自動で推定・算出する処理のことです。