Windows 11でClaudeを使い社内向けお知らせ文を効率的に作成する方法
Claudeで社内向けお知らせ文を効率的に作成する方法

Windows 11でAIアシスタント「Claude(クロード)」を仕事に組み込む方法を紹介する本連載。前回は、Claudeを使い続けていると気付く7つの癖について整理した。今回は、社内向けの案内文やお知らせ文の作成をClaudeを使って効率的に行う方法を取り上げる。社内システムの停止連絡、研修の案内、事務手続きの変更通知といった社内文書は、内容そのものは単純でも、いざ書くとなると意外に時間を取られるものだ。

伝えるべき情報は手元のメモにそろっていても、それを他人に読ませる形に整えるところで手が止まってしまう方も少なくないだろう。このような「メモを清書する」という作業はClaudeが得意とする使い方の一つである。今回は、実際のメモを題材に、社内向けの文書に仕上げるまでの手順を見ていこう。

社内向けのお知らせ文がClaudeと相性がいい理由

社内向けのお知らせの作成がClaudeに任せやすい仕事だといえる理由は、大きく3つある。1つめは、必要な情報があらかじめ手元にそろっている場合が多いという点だ。いつ、何が、どうなるのか。誰が対象で、どこに問い合わせればよいのか。お知らせが必要になった時点で、こうした要素はすでに決まっている。この場合、Claudeに求めているのは新たに情報を作り出すことではなく、すでにある情報を他人に伝える形に整えることだ。これは前回触れたハルシネーションのリスクを抑えやすい使い方でもある。

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2つめは、文書としての型がある程度決まっていることだ。件名があり、対象者への呼びかけがあり、本文で要点を伝え、最後に問い合わせ先を書く。この構成はほとんどのお知らせ文で共通している。また、型がある程度決まっているため、Claudeに構成を指示しやすい。

3つめは、読み手が多いという点である。メールであれば宛先は一人か数人だが、社内向けのお知らせはもっと多くの人が目を通すことになる。それだけに、曖昧な書き方では意図が伝わらず、問い合わせが増えてかえって時間を取られるという結果になりかねない。そこをClaudeに整理させることで、曖昧さや情報の書き漏らしに気付きやすくなるという効果がある。

読み手・掲載先・行動の3つの情報を補う

第2回では、Claudeにメールの下書き作成を依頼する際に指定するべき4つの要素を紹介した。社内向けのお知らせ文の作成では、これに加えて次の3点を明確に伝えるように意識しておくとよい。

  • 誰が読むのか(全社員か、特定の部署か。アルバイトや派遣社員、委託先の担当者も含むのか)
  • どこに掲載するのか(メール、社内ポータルの掲示板、Teamsなどのチャットツール、など)
  • 読んだ人に何をしてほしいのか(期日までに手続きを済ませる、申し込む、単に知っておくだけでよい、など)

特に3つめの要素は漏れがちだ。「読んだ人に何をしてほしいのか」を一言添えておくだけで、Claudeは締切や手順を目立つ位置に配置してくれるようになる。なお、Claudeに渡すメモ自体が整っている必要はない。会議中に走り書きした箇条書きでも、口頭で聞いた内容を書き起こしただけの断片でも構わない。むしろ、下手に自分で文章化しようとせず、素材のまま渡した方がよい結果になることが多い。

場面1: システムの停止を全社員に周知する

まずは、社内のシステムを一時停止する際の連絡を例に見ていこう。手元には、情報システム部から共有された次のようなメモがあるとする。

9/11(金) 20時~9/12(土) 9時 経費精算システム停止 サーバ入替のため 停止中は申請できない 9/10中に申請を済ませてもらう 問い合わせは情シス 内線412

これを元にして、Claudeに次のように指示をする。

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以下のメモをもとに、社内向けのお知らせ文を作成してください。
- 読み手:全社員(アルバイト・派遣社員を含む)
- 掲載先:社内ポータルのお知らせ欄
- 読んだ人にしてほしいこと:9月10日中に経費精算の申請を済ませてもらう
- 条件:メモに書かれていない情報は補わないでください。情報が不足している箇所があれば、文章を作ったあとに指摘してください
【メモ】
9/11(金) 20時~9/12(土) 9時 経費精算システム停止 サーバ入替のため 停止中は申請できない 9/10中に申請を済ませてもらう 問い合わせは情シス 内線412

ここでのポイントは、条件として「書かれていない情報は補わないでください」と明示している点にある。Claudeは、元のメモにはない情報を補って文章を生成することがある。あらかじめ余分な情報を足さないように釘を刺しておくことで、この傾向をある程度は抑えることができる。その上で、「不足があれば指摘してください」と付け加えておけば、自分が見落としていた項目に気付ける場合もある。

筆者の環境では、次のようなお知らせ文が出力された。

件名:経費精算システムの一時停止について
全社員の皆様(アルバイト・派遣社員を含む)
下記の日程で、サーバ入替のため経費精算システムを停止いたします。
【停止期間】
9月11日(金)20:00 ~ 9月12日(土)9:00
停止期間中は経費精算の申請ができません。
つきましては、9月10日(木)中に経費精算の申請を済ませていただきますようお願いいたします。
【お問い合わせ】
情報システム部 内線412

さらに、情報が不足している箇所として、次のような指摘があった。

  • 9/10の申請期限の具体的な時刻:「9/10中」とありますが、何時までなのか(定時まで、23:59までなど)が不明です
  • お知らせの発信元(部署名):問い合わせ先(情シス)は分かりますが、この案内自体を誰が発信しているのかが不明です
  • 掲載開始日・掲載期間:ポータルにいつから掲載するか、いつ掲載を終了するかが不明です
  • 緊急対応:停止中に急ぎの精算が必要になった場合の対応方法が不明です
  • 停止理由の詳細:「サーバ入替」以上の具体的な内容(規模・目的など)は記載がありません

もしも、この指摘の中から内容として盛り込むべき要素があるとしたら、情報を追加してもう一度作り直せばよい。

場面2: 事務手続きの変更を関係部署に伝える

次は、事務手続きのルール変更を伝える場面を考えてみよう。このようなルール変更の連絡は、内容そのものよりも「なぜ変わるのか」が伝わっていないと、現場から不満が出やすいという特性がある。この点をClaudeへの指示に含めておくのがコツだ。

以下のメモをもとに、社内向けの連絡文を作成してください。
- 読み手:営業部および技術部のメンバー
- 掲載先:Teamsの「全社連絡」チャネル
- 読んだ人にしてほしいこと:10月以降に出張予定がある人に、新しい締切を認識してもらう
- トーン:堅苦しくなりすぎないように。変更の理由が伝わる書き方にしてほしい
- 分量:1画面で読み切れる程度に短くまとめる
【メモ】
10月から国内出張の申請締切を変更 出発2営業日前 → 出発5営業日前 理由:直前申請が増えて交通機関・宿泊の手配が間に合わないケースが出ているため 海外出張は変更なし 9月中の申請分は現行ルールのまま 問い合わせ:総務課 山本

掲載先としてチャットツールを指定し、あわせて分量にも触れている点に注目してほしい。チャットに長文を投稿しても最後まで読まれないことが多いからだ。また、文章が堅苦しくなりすぎないように指示しているのも、掲載先がチャットであることに配慮したポイントだ。筆者の環境では次のような文面になった。

📢 【国内出張の申請締切変更のお知らせ】
営業部・技術部の皆さん
10月出発分の国内出張から、申請締切を 出発2営業日前 → 5営業日前 に変更します。
最近、出発直前の申請が増えていて、交通機関や宿泊の手配が間に合わないケースが出てきているためです。余裕を持って申請いただけると助かります🙏
なお、
- 海外出張の締切は変更なし
- 9月中の申請分は現行ルール(2営業日前)のまま
です。
10月以降に出張予定がある方は、締切を早めに確認しておいてください。
ご不明点は総務課 山本まで

理由を1文で添える、変更されない範囲を明記するなどは、いずれも読み手からの問い合わせを減らすことにつながる要素だ。こうした構成については、目的とトーンを伝えておけば、Claudeが読みやすい形に整理してくれる。

ここで注目したいのは、できあがったお知らせ文が、Claudeに渡した指示の分量よりも短くなっているという点だ。生成AIというと、短い指示から長い文章を作り出す道具という印象を持たれがちだが、実際には逆の方向にも力を発揮する。渡した情報のうち、読み手にとって必要な要素だけを残し、順序を組み替えて、短い形にまとめ直しているわけだ。

情報というのは、中身を膨らませるよりも、削って整理する方が難しいことが多い。何を残して何を削るかを決めるには、読み手が何を知りたいのかを想像しなければならないからだ。自分で書いていると、せっかく調べたことを全部書きたくなり、結果として要点の埋もれた文章になってしまうこともある。このような整理をClaudeに手伝わせるのも有効だ。

掲載先に合わせて文体と分量を指定する

同じ内容の連絡であっても、掲示板に貼るのか、メールで送るのか、チャットに投稿するのかによって、適切な書き方は変わってくる。ここまでの例でも掲載先を指定してきたが、思いどおりの形にならない場合は、次のようにもっと具体的に指定するとよい。

  • 文体を指定する: 「です・ます調で」「箇条書きを使わず、文章だけで書いて」「役職名は使わず『各位』で統一して」
  • 分量を指定する: 「300字程度で」「1画面で読み切れる長さに」「詳細は省き、要点だけ3行で」
  • 構成を指定する: 「件名を別に3案出して」「日時・対象・問い合わせ先は箇条書きで整理して」「結論を冒頭に置いて」

会社によっては、社内文書の書き方に独自の慣習があることも少なくない。書き出しに「拝啓」を付けるかどうか、「社員各位」と「関係者各位」のどちらを使うか、日付を和暦で書くか西暦で書くかなど、細かな作法を毎回チャットで指示するのは手間がかかる。このような場合に使えるのが、過去に自分の部署が出したお知らせをそのまま貼り付けて、「この文書と同じ文体・構成で書いてください」と指示する方法だ。Claudeは渡された文書から書き出しの形式や見出しの付け方を読み取り、それに合わせた文章を生成してくれる。

ただし、過去の文書を貼り付ける際には中身をよく確認する習慣をつけよう。社員個人の氏名、取引先名、社外に出せない数値などが含まれていないかは、必ずチェックするべきポイントだ。文体の参考にしたいだけであれば、具体的な固有名詞は伏せ字に置き換えてから渡せばよい。

公開前に数字・固有名詞・追加された情報を確認する

最後に、作成された内容を公開する前に確認すべき点を整理しておく。第一に、数字や日付、曜日などが間違っていないかだ。たとえば「9月11日(金)」のように曜日を添えた形で出力されることがあるが、この曜日が正しいものだとは限らない。このような小さな間違いは、問い合わせが集中する原因になる。

第二に、内線番号、部署名、システムの正式名称といった固有の情報だ。Claudeは一般的な社内文書の書き方を学習しているため、「総務部」「人事課」といったよくある組織名に勝手に言い換えてしまうことがある。自社にしか存在しない呼称ほど、原文と照らし合わせる必要がある。

第三に、実際には存在しない運用が書き足されていないかという点である。「やむを得ない事情がある場合は、事前に担当者までご相談ください」といった一文は、文章としては自然でも、そのような運用を本当に想定しているかどうかは別の問題だ。メモに書かれていない情報が勝手に追加されていないかを確認する作業は、必要な情報が正しく反映されているかを確認するのと同じくらい重要だ。

上記に加えて、メモに含める情報の取り扱いにも注意する必要がある。社内向けの文書には、人事に関する情報や、まだ公表されていない計画が含まれることがある。Claudeに入力する前に、自社の生成AI利用に関するルールや情報管理ポリシーを確認し、入力してよい情報かどうかを判断するようにしよう。

清書の手間を減らし、内容の確認に時間を使う

社内向けのお知らせ作成でClaudeが引き受けてくれるのは、あくまで「体裁を整える」部分である。何を伝えるべきか、誰に伝えるべきか、いつまでに行動してほしいのかを決めるのは、これまでと変わらず人間の仕事だ。

とはいえ、実際に時間を取られているのは、この清書の部分であることが多い。ここをClaudeに任せることができれば、その分浮いた時間を内容そのものの確認に使うことができる。読み手が多い文書でほど、その効果は大きいので、ぜひ試してみてほしい。

杉山貴章 すぎやまたかあき 2002年に有限会社オングスを設立。Javaを中心としたソフトウェア開発や,プログラミング関連書籍の執筆,IT系の解説記事事やニュース記事の執筆などを手がける。また,専門学校の講師としてプログラミングやソフトウェア開発の基礎などを教えている。著書・共著書に,『プロになるJava ―仕事で必要なプログラミングの知識がゼロから身につく最高の指南書』(共著,技術評論社)、『正規表現書き方ドリル』(技術評論社)、『Javaアルゴリズム+データ構造完全制覇』(共著,技術評論社)、など多数。