量子コンピュータの誤り訂正、東大とNTTが世界初の高速化に成功
量子コンピュータ誤り訂正、東大とNTTが世界初高速化

東京大学と日本電信電話(NTT)の研究チームは、量子コンピュータの実用化に向けた重要な課題である誤り訂正処理を、従来の手法と比べて100倍以上高速化する新技術の開発に成功したと発表した。これにより、従来は1時間以上かかっていた特定の誤り訂正計算が約30秒で完了するようになり、大規模な量子計算の実現に向けた大きな前進となった。

誤り訂正の重要性と課題

量子コンピュータは、量子ビット(qubit)を用いて超並列計算を行うが、量子状態は非常に不安定で外部のノイズに弱く、計算中にエラーが発生しやすい。このため、実用的な量子コンピュータを実現するには、誤り訂正技術が不可欠である。しかし、従来の誤り訂正手法は計算オーバーヘッドが大きく、特に多数の量子ビットを扱う大規模計算では処理時間が膨大になる問題があった。

研究チームは、表面符号(surface code)と呼ばれる誤り訂正方式に着目。この方式は、量子ビットを格子状に配置し、隣接するビット間のパリティチェックによってエラーを検出・訂正する。しかし、従来の復号アルゴリズムでは、エラーの確率分布を正確に計算するために多くの計算リソースが必要だった。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

新アルゴリズムの開発

東京大学大学院工学系研究科の武田俊太郎准教授とNTT物性科学基礎研究所の研究グループは、機械学習の一種である「信念伝播法(Belief Propagation)」と「最小重み完全マッチング(Minimum Weight Perfect Matching)」を組み合わせた新しい復号アルゴリズムを開発した。このアルゴリズムは、まず信念伝播法でエラーの確率を効率的に推定し、その結果を最小重み完全マッチングに渡すことで、高速かつ高精度な誤り訂正を実現する。

研究チームは、このアルゴリズムをスーパーコンピュータ上でシミュレーションし、従来手法との比較を行った。その結果、同じ計算精度を維持しながら、計算時間を従来の100分の1以下に短縮できることを確認した。具体的には、従来は1時間以上かかっていた誤り訂正処理が、新アルゴリズムでは約30秒で完了した。

実用化への展望

武田准教授は「今回の成果により、量子コンピュータの誤り訂正が現実的な時間で実行できるようになり、大規模量子計算の実用化に大きく近づいた」とコメントしている。NTTの研究グループも「この技術は、将来の量子インターネットや量子センシングなどの応用にも貢献する可能性がある」と述べている。

量子コンピュータの実用化は、創薬、材料開発、暗号解読、金融モデリングなど様々な分野で革命をもたらすと期待されている。しかし、現状の量子コンピュータはまだエラー率が高く、実用的な計算を行うには数千から数百万の物理量子ビットと高度な誤り訂正が必要とされる。今回の高速化技術は、その実現に向けた重要なステップとなる。

研究結果は、英国の科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』に掲載された。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ