音声フェイク詐欺で約38億円被害、津田健次郎提訴で浮かぶAI時代の声の脅威
音声フェイク詐欺38億円被害、津田健次郎提訴で浮かぶAI脅威

約38億円の音声フェイク詐欺被害

音声フェイク(AIによる偽装音声)を利用した詐欺が世界的に拡大している。ある企業は約38億円もの被害を被ったとされ、声優・津田健次郎氏のTikTok提訴をきっかけに、AI時代の「声の脅威」が改めて注目されている。

政治家も標的に

音声フェイクは政治家にも向けられている。2025年1月、タイのペートンタン・シナワット首相(当時)は、他国の首脳の声を装った偽の音声をメッセージアプリで受け取ったと明らかにした。内容は「ASEANの中でまだ寄付していないのはあなたの国だけだ」という寄付を迫るものだった。

2025年2月にはイタリアで国防相グイード・クロセット氏の音声フェイクを利用した電話詐欺が発生。詐欺グループは複数の著名実業家に「誘拐された記者の身代金」として金銭を要求し、そのうち1人が約100万ユーロ(約1億6000万円)を海外の銀行口座に送金した。資金は後に捜査当局によって凍結・保全された。

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日本の現状と今後のリスク

日本では現時点で音声フェイクによる大型被害の公表例はない。セキュリティ企業マカフィーの2023年の調査でも、調査対象国の中で日本の被害遭遇率は最も低かった。しかし、技術の飛躍的進展を踏まえれば、被害は「これから来る」と専門家は指摘する。

日本では従来から「オレオレ詐欺」など電話音声を悪用した詐欺が社会問題となっている。2026年6月、日本サイバー犯罪対策センターは警察庁の資料を引用し、銀行員を装った電話や自動音声でネットバンキングのIDやパスワードを聞き出し、遠隔操作で不正送金する詐欺への注意を呼びかけている。

AI利用のサイバーリスク

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威2026」では、組織向け脅威の3位に「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初選出された。音声フェイクもその一環として注視すべきだ。

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