巧妙すぎる音声フェイク詐欺の実態とAI時代の脅威
音声フェイク詐欺の実態とAI時代の脅威

AI技術の進化により、音声を偽装した詐欺が巧妙化している。企業では約38億円もの被害が報告され、個人も家族を装った緊急事態詐欺の標的となっている。声を悪用した詐欺は、電話やメールを組み合わせた複合的な手口で、被害者の信頼を巧みに操る。

企業を狙った音声フェイク詐欺の実態

音声フェイク詐欺は、すでに企業に甚大な被害をもたらしている。ある企業では、取引先の役員を装ったフェイク音声により、約38億円もの金額を騙し取られた。この手口では、電話だけでなくメールや偽の取引情報が組み合わされ、被害者の警戒心を解く仕組みになっている。学習院大学非常勤講師の塚越健司氏は、「既存の詐欺手口に『本人らしい声』が加わることで、相手を信じ込ませる力が増す」と指摘する。

個人を標的にした緊急事態詐欺

音声フェイクは企業だけの脅威ではない。個人を狙った緊急事態詐欺も急増している。2020年、アメリカ・ペンシルベニア州の弁護士、ギャリー・シルドホーン氏は、息子の声に似た電話を受け取った。「交通事故を起こして逮捕された」と泣きながら訴える声に続き、弁護士を名乗る人物が9000ドルの保釈金を要求した。同氏は家族に確認して詐欺だと見抜いたが、2023年のアメリカ議会公聴会でこの体験を証言している。

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感情に訴える声の危険性

子どもや家族の声を使った緊急事態詐欺は、相手の冷静な判断を奪う。アメリカでは、娘が誘拐されたように装う音声フェイク電話で身代金を要求された事例も報じられている。声は文字よりも感情に訴えやすく、「助けて」という肉親の声に聞こえれば、人は確認より先に動いてしまいやすい。シルドホーン氏がこの件を公表したところ、同様の被害に遭ったという連絡が全米から寄せられたという。

AIの進展で日本の被害が拡大するおそれ

AI技術の進展により、音声フェイクの精度はさらに向上している。日本でも、こうした詐欺の被害が拡大する可能性が指摘されている。声を悪用した詐欺は、企業だけでなく一般市民も狙いにしており、対策が急務だ。

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