岩井コスモ証券(大阪市)のインターネット取引システムがサイバー攻撃を受け、顧客の意図しない売買が成立した問題で、同社は21日、取材に「AI(人工知能)を使ったと思われる総当たり攻撃」が原因だったと明らかにした。木原稔官房長官は同日の記者会見で、金融庁が同社に対して原因の分析と再発防止策の策定を求めたと述べた。
専門家「次元が異なる攻撃」
金融機関の中核システムに侵入し、不正取引する事案が判明するのは異例。サイバーセキュリティーに詳しい神戸大名誉教授の森井昌克氏は「国内では聞いたことがない。システム自体の乗っ取りで、個人情報の漏洩(ろうえい)とは次元が異なる攻撃だ」と話す。
攻撃を受けたのは、インターネット取引システム開発のトレードワークス(TW、東京都)が開発し、岩井コスモに提供する売買管理システム。14日に不正アクセスを検知し、同日中に通信を遮断したが、遮断が間に合わずに顧客が意図しない売買の発注が7口座分で発生し、うち5口座で売買が約定されたという。
発表文から「AIを用いて」削除
岩井コスモは21日、「今回の事象は、悪意ある第三者がAIを用いてシステムの脆弱(ぜいじゃく)性を突き、総当たり攻撃を仕掛けてきたもの」と発表した。その後、発表文から「AIを用いて」の文言を削除したが、「断定はできないが、AIによるものと思われる」と説明した。売買が成立した5口座については、すでに取引前の状態に戻したとしている。
TWは岩井コスモ以外の金融機関にもシステムを提供している可能性があり、影響範囲の拡大が懸念される。