デジタル地図事業を展開するジオテクノロジーズと日本IBMは8月24日、DX/AIパートナーシップを締結した。両社は、ジオテクノロジーズの地理空間データや人流・購買などのダイナミックデータとその分析技術に、日本IBMのクラウドネイティブ技術、AI活用、開発方法論を組み合わせることで、新たな価値の創出と地理空間データの活用拡大を目指す。
地理空間データ活用の高度化に向け基幹システム刷新を推進
デジタル技術の進展に伴い、地理空間データは地図による現状把握のほか、人やモノの動きを捉えた分析を通じて、企業や自治体の意思決定を支える役割を担うようになっているという。
30年以上にわたり地図事業を手がけるジオテクノロジーズは、これまで蓄積してきた高精度な地理空間データと、人流・購買などのダイナミックデータを掛け合わせて分析することで、企業や自治体の意思決定の支援や近未来予測の実現に取り組んでいる。こうした中、自動運転やADAS対応といった地理空間データへの新たなニーズの高まりを受け、より高度なデータ構造への進化と多様化する顧客ニーズへの柔軟な対応を目指し、地理空間データの編集・更新を担う基幹システムの刷新に取り組んでいた。
日本IBMは、企業の基幹システムのモダナイゼーションを支援してきた実績と知見を有し、クラウドネイティブ技術や生成AIを活用した次世代システム開発を推進している。ジオテクノロジーズの基幹システム刷新においても、生成AIを活用してドキュメント不足や要員確保といった課題の解決を支援している。
地理空間データ基盤高度化に向け4つの取り組みを推進
このような背景のもと、両社は地理空間データ基盤の高度化と新たなデータ価値の創出に向け、DX/AIパートナーシップを締結した。パートナーシップでは、主に4つの取り組みを進めていく。
1つ目は地図整備基幹システムにおけるクラウド基盤構築として、ジオテクノロジーズの地図データの編集・更新を担う基幹システムに、日本IBMのクラウドネイティブ技術を適用する。これにより、多様化する顧客ニーズにも迅速に対応できる柔軟性を高めるとともに、高品質なデータをタイムリーに提供できるクラウド基盤を構築する。加えて、セキュリティとデータ管理を強化し、安全かつ継続的なデータ活用を確立する。
2つ目のAIエージェント・仕様駆動開発による開発効率化では、ジオテクノロジーズの地図整備基幹システムの構築において、日本IBMの知見を活かした開発手法を導入し、設計から開発・運用までを一貫して効率化する。具体的には、AIエージェント駆動のエンタープライズ向け開発支援パートナー「IBM Bob」や、エンタープライズ向けの大規模システム開発において仕様駆動開発を本格的に適用するためのコンテキスト標準ソリューション「AI Lifecycle Shared Engineering Artifacts(ALSEA、アリーシア)」の活用に向けた検討を開始し、品質の向上と生産性の改善を図る。これにより、開発サイクル全体の期間を30%以上短縮することを目指す。
3つ目は、地理空間AI基盤を活用した新たなデータソリューションを共同開発する。両社は、日本IBMの地域DXセンターなどの共創拠点や開発・保守体制を活用し、モビリティや都市開発、防災、マーケティングなど幅広い分野で自治体や企業の意思決定を支援する新たなデータソリューションを共同で開発する。その中核技術として、ジオテクノロジーズが開発・提供する地理空間AI基盤「GeoTechAgent」の活用を検討する。GeoTechAgentはRAG(検索拡張生成)やAIエージェントの技術を地理空間領域に応用し、POI(施設・地点情報)検索や地点周辺の分析、人やモノの動きをふまえた将来予測などを、対話形式で統合的に提供する。専門知識がなくても、必要な地理空間情報や分析結果へ直感的にアクセスできる環境を実現するという。
4つ目の責任あるAIとデータガバナンスの推進では、両社間で透明性、説明可能性、公平性を重視した責任あるAIの原則にもとづき、パートナーシップを推進する。人流・購買などの動態データの活用においては、個人情報保護法をはじめとする関連法令を遵守し、適切なデータガバナンスとプライバシー保護を徹底する。また、AIによる分析・予測の結果については人による確認・監督を行い、安全性とセキュリティを確保したうえで、産業や社会の意思決定を支えるデータ価値の創出を目指す。
今後、両社はパートナーシップを通じ、地理空間データとAIの活用を高度化し、産業や社会の意思決定を支える新たなデータ価値の創出を加速していく。さらに、モビリティーや都市開発、防災、マーケティングなど幅広い領域におけるデジタル変革に貢献し、持続可能な社会の実現を目指す考えだ。



