マレーシアの漫画家たちが作画を担当し、日本のスタッフがストーリーなどを手がけた学習漫画が、今夏話題を集めている。KADOKAWAが7月に刊行した「地理・歴史ミステリー 世界コワイモノMAP」の「日本編」だ。同社とマレーシアの子会社が共同で制作した。
コワイ話を通じて地理や歴史を学ぶ
本書は、呪いの神社や落ち武者の亡霊といった「こわい話」を「コワイモノ研究部」のメンバーが探る構成。漫画の合間には情報ページもあり、日本の地理や歴史を楽しく学べる。現代のホラーブームに沿った内容で、親しみやすい絵が特徴だ。
担当編集者の福山みさおさんは「“お勉強感”だけを前面に出さず、興味をひくきっかけが、この本であればという願いを込めて作っています」と話す。
マレーシア子会社との連携が生む強み
このシリーズは、KADOKAWAのマレーシアにある子会社「Kadokawa Gempak Starz」(KGS)と連携して生まれた。マレーシアは人口構成が若く、同社には100人規模の漫画家が在籍している。編集や作画を「ワンストップ」で行えるのが強みだ。
ストーリーやキャラクターデザイン、監修は日本が担当し、ネーム(下描き)と作画をKGSが担う。マレーシアでは漫画家の伊藤潤二さんらが注目されるなどホラー人気が高く、企画はすぐに進んだという。
制作期間の短縮と国際的な展望
KADOKAWAがこの国の出版社に着目したのは、2013年にマレーシアで刊行された学習漫画「どっちが強い!?」シリーズがきっかけだ。動物の生態を漫画で学ぶこのシリーズは、中国やシンガポール、台湾など11の国や地域で翻訳され、世界で1200万部以上が刊行されてきた。KADOKAWAは制作能力の高さを評価し、2015年に子会社化した。
学習漫画は教科書に沿った内容や監修者のチェックが必要で、1冊刊行するまでに時間がかかる。しかし福山さんは、マレーシアの子会社と共同することで「肌感覚でいえば、カラー学習漫画として数か月は制作期間が早い」と語る。その理由について「多彩な人材がそろっている。グループ会社の強みで、やりとりが早く密にできている」と説明する。
KGSの杜淳COOは「うちの会社の漫画家たちは、日本の漫画が大好き。本社編集部からインプットを得ながら、非常にリスペクトを持って仕事をしている」と話し、「小さい国ですが、マレーシアの漫画制作集団としてトップだという自負もあります。今後もグローバルな視点を重視したい」と語った。



