過去最多60件のCF、経営厳しい地域病院が応援実感…目標上回る寄付続々
過去最多60件のCF、経営厳しい地域病院が応援実感

全国の医療機関が経営難に直面する中、救急車や医療設備の購入費用をクラウドファンディング(CF)で集める事例が増加している。大手CFサイト「READYFOR(レディーフォー)」では、2025年に過去最多の60件の医療機関によるプロジェクトが実施され、2026年も同様のペースで推移している。医療従事者は地域住民からの支援を実感し、励みになっているという。

県立広島病院のCF成功例

広島市南区の県立広島病院は2026年2月、災害派遣医療チーム「DMAT」の活動に使用する救急車を購入するため、READYFORで2700万円の目標額を設定。3月末までに目標を大幅に超える約4700万円が集まった。同病院は地方独立行政法人が運営し、財源は診療報酬が中心で、自由な資金確保が困難だった。これまで使用していた車両は一般ワゴン車を改造したもので、10年以上前に導入。2016年の熊本地震などの被災地支援で使用され、平時には患者搬送にも活用されてきたが、故障リスクが懸念されていた。

寄付者からは「地域医療の要として頑張ってください」「微力ながら力になりたい」といったメッセージが寄せられた。板本敏行院長は「反響が大きく、病院に勤務する人にとって励ましになったと思う」と述べた。

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CFの急増と背景

医療機関によるCFは増加傾向にある。READYFORでは2015年に1件だったが、コロナ禍の2020年には16件に急増。2025年には過去最多の60件となり、同年の支援総額は10億円を超えた。背景には、多くの医療機関が厳しい経営状態にあることがある。厚生労働省によると、全国の一般病院のうち2024年度は約3分の2が赤字だった。主な要因は物価高や人件費の高騰で、診療報酬が主な収入源である医療機関はコスト上昇に合わせた自由な値上げができない。

資金集めの目的は多岐にわたる。高知市の近森病院を運営する社会医療法人「近森会」は2025年、南海トラフ地震による津波浸水被害に備え、薬剤を高層階に保管する新棟建設などのため約1300万円を集めた。兵庫県立こども病院(神戸市中央区)は2025年、患者に寄り添う犬「ファシリティードッグ」導入のためCFを活用。目標の倍以上となる約4500万円が寄せられ、2026年秋に1頭を正式導入する予定だ。

資金面以外の効果

CFには資金調達以外の効果も期待される。READYFORが2025年に医療機関を対象に行ったアンケート調査では、CFを実施して良かったこととして「取り組みを発信できた」が97.6%、「支援者からの応援メッセージが励みになった」が82.9%だった。同社の担当者は「コロナ禍では医療機関を応援するためにCFが活用された。近年は地域医療を住民と一緒に作ろうというムードが高まり、住民の感謝と応援の気持ちが資金として返ってきている」と話した。

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