AI生成画像を使ったチラシやポスターを目にする機会が増え、「AI製ばかりでつまらない」「AI露出はダサい」といった声も聞かれるようになった。一目でAI製と分かる画像には共通点があり、それを意識的に避ければ「AIっぽさ」は解消できる。今回は、実際に旅行チラシを作成しながら、その手法を紹介する。
AIっぽさを生む共通点と回避策
AI画像の「AIっぽさ」を言語化し、それを禁止事項として明確に伝えることが重要だ。自ら撮影した写真を使っても、AIが過剰に加飾して不自然さが目立つこともある。文字についても、AIで入れると細かい調整が難しいため、後から手作業で追加する方が確実だ。
今回の実践では、自身で撮影した料理写真を使用し、料理教室の告知チラシを制作する。画像生成にはGeminiを、文字入れの作業にはデザインツールのCanvaを使う。
実際のプロンプトと生成結果
まず、チラシで使う写真を渡した上で、以下のように指示する。
「添付した料理写真を使って『秋のアピール料理教室』のA4縦型チラシに使うベースビジュアルを作成してください。完成したチラシではなく、後からCanvaで文字やロゴを配置するための『文字入れ前の画像』を作ってください」
さらに、写真の加工に関する詳細な指示を追加する。アピール、スキレット、パンの見た目は変えないこと、食材の追加・削除や形の変更、盛り付けの変更はしないこと、料理を「より豪華に」「より映える」ように作り変える必要はないこと、過度なドラマ、演出、照り、演出も不要であることなどを明示した。料理そのものが別物に見えるような加工は避け、補正後も実物に近い自然な見え方を保つよう求めた。
構造についても、「A4縦型を想定」「料理写真は下半分を中心に配置」「上部にはタイトルと短い説明文を配置できる広い余白を残す」「下部または右下にも、日時、場所、参加費、申込方法を置くためのスペースを確保」と指定。デザインは「落ち着いた料理教室の雰囲気」「自然な木の質感やベージュ、ブラウン、落ち着いたオレンジ系を基調」「家庭的で温かみはあるものの、過度に演出された広告写真にはしない」「CGのような演出、過度な発光、強すぎる逆光、過剰なボケ、派手なグラデーション、キラキラした粒子は避ける」ことを求めた。文字、数字、ロゴ、記号、意味のない疑似文字は一切入れないこと、文字を入れる場所は空欄のまま残すことも指示した。
料理の内容を変えないこと、演出を加えすぎないことを明示したことで、落ち着いた雰囲気に仕上がった。ただし、「写真を加飾しない」と指示したにもかかわらず、元写真でパンの下に敷かれていたアルミホイルがそのままになって見栄えがよくない。スキレット(小型フライパン)が直接テーブルに置かれているのも不自然だ。また、背景に散りばめられたドングリや落ち葉に「AIっぽさ」を感じるため、これは除去する方向とした。
以上の内容を踏まえて、Geminiに追加指示を出す。
「パンの下のアルミホイルを木製プレートに変えてください」「スキレットの下に敷き物を置いてください」「アピール、スキレット、パンの数や形、料理の内容は変えないでください」「文字、数字、ロゴは追加しないでください」「落ち葉やドングリなど、直接的な『秋らしさ』の表現は使わないでください。秋らしさは、木の質感や落ち着いた色のトーンで自然に表現してください」「上部の余白を少しだけ狭くして、料理がもう少し大きく見えるようにしてください」
AI画像にありがちな不自然さが解消され、テーブルセッティングをして撮影した写真のような印象になった。ただし、全体的にかなりシンプルな仕上がりなので、好みに応じて周囲にちりばめた落ち葉などの演出はある程度残す選択もありそうだ。
文字入れ作業におけるAI活用
ここからは、手作業で文字を入れる作業を進めていく。デザインに自信がないと、色やフォントの選択で悩んで作業が進まないといったことも起こりがちだ。その場合は、フォントの種類や色などの選定もAIに頼るとよい。
画像生成に使ったチャットで、全体の印象やどんな文字を入れるかを伝えて、以下のように質問する。「この画像に『タイトル』『短い説明文』『日時・場所などの情報などの詳細情報』の文字を、Canvaで追加します。まとまりがあり、親しみやすい印象にしたいと思っています。チラシの雰囲気に合ったフォントの種類と色、配置を提案してください。文字は私がCanvaを使って手作業で行うので、画像に直接文字を入れないでください。チャット上でテキストで回答してください」
ここでは「ベース色」「アクセント色」それぞれのカラーコードと、タイトル、説明文、詳細情報それぞれに使うフォント、どの文字要素をどこに配置するかの提案が返ってきた。あとは、この提案を参考にしながら、Canva上で文字を入れる作業を進めればよい。
さらに、自分で作業した後の「添削」をAIにしてもらうことも可能だ。一通りの文字を入れたら、作業中のCanva画面のスクリーンショットを撮って「よりよい仕上がりにするために、修正すべきところはありますか?」と質問すればよい。文字のサイズや配置の微調整や色のコントラストなどについて、具体的なアドバイスが返ってくる。
生成手段の使い分けが重要に
画像の「AIっぽさ」の排除を目指すと、一発で作る場合に比べ、どうしても工数が必要になる。どちらが良い・悪いという話ではなく、適切に使い分けられることが大切だ。
例えば、社内での情報共有を目的とした掲示物などであれば、必要な情報が正確に記載されていれば、AI一発で作ったものでも問題ないだろう。そもそも画像生成AIがなかった時代、この手の掲示物は文字だけの質素なものが大半だった。それが以前より見栄えよく仕上がるのだから、AIっぽさが残ったとしても十分だろう。
一方で、商品販売や集客を目的としたチラシのように、直接顧客の目に触れ、制作物の印象がビジネスの結果に影響するようなものは、今回のように手間をかける価値がある。制作手段の選択肢が広がったからこそ、目的にあわせた適切な選択をすることがより重要になっている。



