LINEアプリの設定画面で、ユーザーの子どもの有無や最終学歴、職業、年収といった機微な属性情報が、広告ターゲティングに利用されている実態が明らかになり、物議を醸している。
「覚えのない情報が広告に使われていた」と不安の声
「LINEに登録した覚えのない情報が特定され、広告配信に使われていた。怖い」といった投稿がSNSで拡散され、設定をオフにするムーブメントが起きている。LINEヤフーは取材に対し、「業界団体(JIAA)のガイドラインなどに従い、告知などを行った上で運用している」と説明しつつ、周知方法などについて「改善を重ねる」と述べている。
問題となった「広告表示に利用するデータの設定」機能
問題となっているのは、「広告表示に利用するデータの設定」機能だ。「利用するデータ」には、子どもの有無や学歴、職種などの属性情報のほか、検索・位置情報などの行動履歴が含まれる。これらを広告配信時のターゲティングに利用する設定がデフォルトで「オン」になっており、ユーザーの属性や趣味嗜好が精度高く推定される。
このため、「知らないうちにオンになっていた」「属性が当たっている。友だちとのトークなどから特定したのでは」などと不安が広がり、オフにする方法が拡散された。筆者の属性情報も、大学院ではなく大学卒だが、それ以外はすべて当たっていた。年収(「やや高い」など)が表示されるユーザーもいるようだ。
LINEヤフーは「個人を特定する情報は含まれていない」と説明
ただしLINEヤフーによると、広告配信に利用される情報には「個人トークなど、個人を特定できる情報は含まれていない」という。では、どのように推定しているのか。
同社によれば、LINE関連サービスの利用履歴(友だち追加したLINE公式アカウント、ダウンロードしたスタンプ、閲覧またはクリックした広告など)や、ユーザーが登録した基本情報(年齢、性別、国・地域など)、ネットワーク接続に関する情報(端末機種やOS、IPアドレス、広告識別子など)を「個人を特定できないよう機械的に処理し、ユーザーの興味関心や属性を推定・分類」した上で、広告配信に活用しているという。
筆者は「小学生の子どもあり」「職種はマスコミ・広告」などと、かなり正確に推定されていた。振り返ってみると、小学生向けセミナー関連のLINEアカウントを友だち追加したことがあり、子どもがいることは容易に推定できそうだ。LINEニュースで見ている記事の傾向から、職種も推定できるかもしれない。
「以前から使っていたデータだが、ユーザーが除外できるようにした」
こうした情報の広告配信への利用は、以前から行っていたとLINEヤフーは説明する。「新たに広告配信で利用できるデータの範囲を拡大したものではない」という。
2025年8月からは、これらの情報を「属性情報」などとして設定画面に明示し、オン・オフを可能にした。従来はデフォルトで全てオンだったのを、項目別にオフにできるようにしたという。
同社は「ユーザー自身が、自身のデータを広告配信にどの程度利用させるかを自由かつ細かく設定できることで、興味・関心に合わない広告の表示を減らし、広告に対する不快感の軽減と利便性の向上を目指している」と説明する。
オフを選べるようにしたことは「プライバシーに対する取り組みの強化」でもあるという。従来から利用していたデータについて、ユーザーがコントロールできる手段を新たに提供した、との説明だ。
同機能については、LINEアプリの設定画面からアクセスできる「お知らせ」でユーザーに告知したと説明する。LINEは、設定画面からアクセスできる「お知らせ」で25年8月にユーザーに告知したという。
ユーザーが広告への情報提供をオフにできる仕組みは、Yahoo! JAPAN上で2023年7月に提供を始めた「アドパーソナライズセンター」に準じた。25年8月から、LINEアプリの設定もYahoo! JAPANに合わせた形だ。
オフにしても…
同社は「LINEの個人トークは見ていない」「あくまで推定情報」「広告体験をより良くし、ユーザーが情報をコントロール可能にするため」と説明するが、事前の告知や説明が不十分で、ユーザーが「知らないうちに、機微な情報をビジネスに活用されていた」と不安を感じた――という構造だ。
同社は「告知方法を含め、より良いサービス提供に向けた改善を重ねていく」としている。
設定を変更するには、LINEアプリで「設定」→「プライバシー管理」→「広告の設定」→「広告表示に利用するデータの設定」の順に進み、「属性情報」「行動履歴」などの項目を個別にオフにすればよい。ただし、オフにすると属性に基づく広告の表示頻度が「減る」だけで、まったく出なくなるわけではないようだ。



