バックスラッシュ(「\」)は、スラッシュ「/」とは逆向きの記号で、プログラミングやLaTeXなどの技術文書で頻繁に使用される。しかし、日本語の文章では使う機会が少ないため、iOSの日本語キーボードには専用キーが割り当てられていない。このため、ユーザーは少々手間のかかる操作を強いられている。
バックスラッシュの歴史的背景
従来、日本で広く使われてきたShift_JISなどの日本語文字コードでは、「\」と「¥」は同一視されていた。これは50年以上前、日本の文字コード規格を策定する際に、通貨単位記号「¥」をASCIIコードの「\」の位置(0x5C)に割り当てたことに起因する。しかし、現在iOSで標準的に使われるUTF-8では、「\」と「¥」は完全に別の文字として扱われる。例えばLaTeXのコンパイラはこれらを厳密に区別するため、「¥」ではなく「\」として入力する必要がある。
iOSキーボードでの入力方法
iOSに標準搭載の日本語ソフトウェアキーボードでは、バックスラッシュの入力に以下のような手順が必要で、いずれも効率的とは言い難い。
- 日本語かなキーボード(テンキー):数字・記号入力モードで「9」キーを右フリックする。
- 日本語ローマ字キーボード:数字モードで「/」キーを長押しし、表示された候補から選択する。
- 英語キーボード:同様に数字モードで「/」キーを長押しする。
これらの方法は時間がかかり、特に頻繁にバックスラッシュを入力する必要があるユーザーにとっては大きなストレスとなる。
ユーザ辞書を活用した高速入力
よりスピーディーに「\」を入力するには、iOSのユーザ辞書機能を活用するのが最も効果的だ。設定手順は以下の通り。
- 「設定」アプリを開く。
- 「一般」をタップ。
- 「キーボード」を選択。
- 「ユーザ辞書」をタップ。
- 画面右上の「+」をタップ。
- 「単語」欄に「\」を入力。
- 「よみ」欄に、入力時に使いたい文字列(例:「-/」)を入力。
- 「保存」をタップ。
これで、例えば「-/」と入力すると「\」が候補として表示され、選択するだけで入力できる。覚えやすい文字列を設定すれば、専用キー並みの速度で入力が可能になる。
執筆者情報
本記事は、IT/AVコラムニストの海上忍氏が執筆。UNIX系OSやスマートフォンに関する連載・著作が多数あり、マイナビニュースでは「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」や「(新)OS Xハッキング!」などを連載中。また、オーディオ特化型Raspberry Pi向けLinuxディストリビューションの開発にも取り組み、2012年よりAV機器アワード「VGP」審査員を務めている。



