投資信託選びで失敗しないために「中身を見る」ことの重要性
投資信託選びで失敗しない「中身を見る」重要性

S&P500やオルカン(全世界株式インデックス)が新NISAの定番となり、「人気だから」という理由だけで投資信託を選ぶ人が少なくありません。しかし、投資のプロは「本当に見るべきなのはランキングではなく商品の中身」だと指摘します。著書『投資がうまくいく人の当たり前』(アスコム)から、投資信託選びで失敗しないための考え方を紹介します。

うまくいく人は「中身を見て」買う

投資信託にはそれぞれ特性があり、リスクの取り方や運用方針、運用者の考え方によって、得られる成果も投資家の満足感も異なります。値動きが大きい商品は刺激的ですが不安も大きく、安定運用を志向する商品には派手さはないものの安心感があります。その違いを理解しておくことが、落ち着いて投資を続けるための条件です。

独立系運用会社を立ち上げた著者の新井和宏氏は、株式市場よりもリスクを抑えた安定運用を目指しました。基準価額の変動リスクをおおむね10%以内(株式市場の値動きの半分ほど)に抑える設計です。かつて信託銀行に勤めていた1990年代前半は、定期預金で年5%前後の利回りがあり、長期で預ければ自然に財産が増える時代でした。市場平均を上回る高いリターンを狙うのではなく、投資先企業の実力に見合った成長を着実に反映させ、基準価額の下落幅を抑えることを重視したのです。

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「結い2101」が支持された理由

日本の多くの投資家は「株は怖い」「損をしたくない」と感じており、リスク資産に慣れていません。投資に慣れていない人でも始めやすく、長く安心して持ち続けられるようにするのが狙いです。こうした設計の「結い2101」は急上昇する相場では他のファンドほどのリターンを上げませんが、その分、相場が下落したときに安定性を発揮します。大きく跳ねることよりも、下げを抑えながら資産を増やしていく考え方です。

値動きの幅を小さく抑えることで、受益者が不安にならずに長期保有を続けられるようにする。それが「結い2101」の特性です。実際に運用していた当時、東日本大震災など市場全体が大きく揺れた局面では、「結い2101」への支持が高まりました。

投資信託の「性格」を知らないから不安が消えない

運用方針やリスクの設計は投資信託によってまったく異なります。高いリターンを狙うものもあれば、値動きを抑えて安定性を重視するファンドもあります。その違いを知らずに「なんとなく有名だから」「人気だから」と選んでしまうと、上がれば安心、下がれば不安という値動きだけの投資になってしまいます。「この投資信託は、もともとこういう値動きを想定している」と知っているだけで、不安の感じ方がまるで違います。逆に「なぜ上がったのか、なぜ下がったのか」がわからない状態は、投資を継続するうえでもっとも危険です。

多くの投資信託は、目論見書や運用報告書に方針やリスクが書かれています。目論見書では「何に投資するのか・手数料はいくらか・どんなリスクがあるか」を確認でき、運用報告書では「実際に何に投資し、成績や運用状況がどうだったか」を確認できます。しかし、こうした書類は金融庁の定型フォーマットで作成されているため、どうしても無機質になりがちで、運用者の考えや哲学までは伝わりにくい。

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アクティブファンドは説明会に足を運ぶ

とくにアクティブファンドに関しては「説明会に足を運ぶ」のが得策です。どんな人がどんな思いで運用しているのか、直接感じることで、その投資信託が自分に合っているかどうかがわかるはずです。「インデックスファンドとアクティブファンドのどちらがよいか」は、たびたび議論の的になりますが、優劣の問題ではありません。インデックスファンドは市場全体の動きに合わせて成果を得たい人に向いており、アクティブファンドは「どんな企業を応援したいか」を重視する人に向いています。

入り口としてインデックスファンドから始め、次にアクティブファンドを検討し、さらに関心が深まれば個別株に進む。自分の考えに合わせて投資のスタイルを変えていくのもひとつの成長プロセスです。

投資信託の中身を見ることで変わる向き合い方

投資信託はプロに運用を任せる商品ですが、そのお金の行き先には実際の企業があります。投資先の企業がどんな活動をしているのかに目を向けると、投資信託にお金を預けることは、社会で挑戦する人たちを支える行為へと変わります。どんなに優れた商品でも、その特性を理解せずに持っていると、不安は消えません。

たとえば、S&P500は日本では唯一の正解のように語られがちです。もちろん優れた指数ですが、時期によって特定の業種の比重が大きくなることがあります。近年はIT系(ソフトウェア、半導体、ネット関連など)の大型企業の影響が強く、指数全体の値動きがITの調子に引っぱられやすい状態です。分散しているように見えても、裏側では「ITが崩れると全体も揺れやすい」というリスクを含みます。

上げ下げに一喜一憂せずに長く投資を続けるためには、「その商品がどんな考えで運用されているのか」「どのような場面で強いのか」を知ることが欠かせません。商品の設計思想を知り、自分の考えと合っているかを確認する。それだけで、投資との向き合い方が変わります。

アクションリスト

  • 投資信託を買う前に、目論見書で投資先、値動き、手数料を確認する
  • アクティブファンドは、運用報告書や説明会で運用者の考え方を確認する