NTTドコモのリアル店舗であるドコモショップで、ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)の口座開設などのサポート提供が8月21日から開始された。全国196店舗のドコモショップから開始し、早期に1,000店舗まで拡大する予定で、ドコモSMTBネット銀行の円山法昭社長は「遅くとも1年半以内に1,500店舗まで拡大できる手応え」だと話す。
リアル店舗で新たな顧客層を開拓
ネット専業銀行ながらリアル店舗における口座開設などのサポートが提供されることで、従来には訴求できなかった顧客層にアピールできるとしており、円山社長はこれによって「預金口座でメガバンクを超えるか、同等ぐらいの規模まで成長できると確信している」とアピールしている。
ドコモショップの役割と金融グループの戦略
ドコモショップは、ドコモの携帯回線の契約や端末の購入などのサポートを提供しており、全国には2,049店舗がある。ドコモグループのドコモCSが運営する以外にも、フランチャイズとして各地の事業者がドコモショップを運営する。これまでも、携帯回線の契約にあわせたdカードやd払いの契約、利用開始サポートなどもあり、ドコモサービスの入口として重要な役割を果たしてきた。
ドコモの金融子会社であるNTTドコモ・フィナンシャルグループ(FG)は7月1日から事業を開始。グループ入りした住信SBIネット銀行はドコモSMTBネット銀行へと社名を変更し、個人向けの銀行サービスとして「ドコモの銀行」をスタートさせた。
リアル店舗の力で成長を確信
円山社長は「すでに成功体験がある」と指摘。ドコモショップの代理店の1つが、数年前から住信SBIネット銀行のフランチャイズ代理店として住宅ローンを扱っており、こうしたリアル店舗を活用したことで「住宅ローン取り扱いは日本最大になったが、ネット経由が5%、リアル経由が95%と、圧倒的なリアルの力で成長した」と説明する。同様に、デジタルやテクノロジーという強みに、さらにドコモショップというリアルを組み合わせることで、住宅ローンでは「メガバンクを超えるほどの規模に成長できることを身をもって体験してきた」という。
住宅ローンに対して、ドコモの銀行の預金口座数は940~950万口座。「日本の銀行全体の口座数が約6億といわれている中でまだ1%強」(円山社長)。ドコモの銀行を含めたネット専業銀行の預金残高は50兆円に満たないほどで、個人の金融資産1,200兆円の中でのシェアは4%程度、と円山社長は説明する。住宅ローンと預金口座における違いは「リアルに展開できていなかった」(同)という点。ここにドコモショップが加わることで、ドコモの銀行はさらなる成長が期待でき、「メガバンクと同等か、それを超える規模にまで成長できると確信している」と円山社長は強調している。
ドコモブランドの力と今後の展開
なお、社名をドコモSMTBネット銀行に変更したことでネットの検索数は3倍以上に跳ね上がり、新規口座数も増えてきているとのことで、こうした点はドコモブランドの力だと円山社長。30~50代の男性が多いというドコモの銀行に対して、円山社長はドコモショップによって若年層から高齢層、女性まで幅広いユーザーにリーチできることも期待する。
ドコモFGの廣井孝史社長は、同社にとって銀行サービスが重要な中核的なサービスであり、日々の決済においても引き落とし口座として必要になるし、その預金を定期預金としたり、資産運用に繋げたりと、「金融行動のハブになる」と話す。この中核サービスを、ドコモのサービスとの連携も含めて説明する場としてドコモショップを活用。「非常に強力なマーケティングチャネルになる」と廣井社長は強調する。
ドコモショップでは、携帯電話の料金プランや各種サービスの説明をするため、「非常に高い接客スキルを蓄積してきた」と廣井社長。「そのスキルを最大限生かすことで、丁寧な説明や疑問の解決など、対面ならではのアプローチで大きな安心感を与えられて、これはデジタル技術では代替できない」とアピールする。
口座開設サポートの詳細と今後の動向
ドコモショップで銀行口座の開設サポートを行うためには、銀行代理業の許可または金融サービス仲介業の登録が必要であり、そのいずれかの取得が終わっている196店舗から対応をスタート。それ以外のドコモショップでは、ユーザーからの要望に応じてテレビ電話による開設サポートも提供する。ドコモの金融サービスでは、「ドコモのNISA」の申込サポートも一部のドコモショップで提供しているが、その中ではドコモショップ丸の内店のみが、今回の銀行口座開設サポートにも対応。それ以外の店舗でも、今後順次サポートを広げていきたい考えだ。
これまでも申込サポートを提供してきたdカードだが、引き落とし口座は多くの人がドコモの銀行以外を選んでいる。引き落とし口座をドコモの銀行に設定すると還元額がアップする特典も用意されており、この2つの組み合わせをアピールすることで、既存カードユーザーを含めた銀行口座開設の推進も狙う。ドコモショップにおける銀行口座開設サポートが今後どこまで広がり、口座開設以外のサポートがどこまで拡大するか、金融サービスとショップを同じように抱える携帯各社にこの取り組みが拡大するのか、今後の動向が注目される。



