askenが提供する食事管理アプリ『あすけん』に、栄養士キャラクター・未来さんと対話しながら次の一食を決められるチャット機能「AIこんだて提案(β版)」が追加されました。これまでの『あすけん』は、食べたものを記録して評価を受ける「記録→フィードバック型」のアプリでしたが、今回追加されたのは、食事の前に相談できる「提案型」の機能です。
新機能の概要と利用条件
未来さんとのチャットで好みや状況を伝えると、その日の食事記録や目標摂取カロリーをもとに、次の一食を提案してくれます。あすけん栄養士が監修した機能で、提供条件は次のとおりです。
- あすけんプレミアムサービス加入者限定
- 1か月あたり10回までの利用回数上限
- iOS版で先行リリース後、Android版も対応完了(iOS:8.83.1以上、Android:7.9.12以上)
- 18歳未満のユーザーと「あすママコース」利用者は対象外
先行して実施されたクローズドβテストでは、参加ユーザーの約74%が「食事選びの負担が減った」、約77%が「栄養バランスの改善を実感した」と回答しました(2026年3月27日~4月3日、プレミアム会員273名対象)。
気分を伝えるだけでコンビニごはんの組み合わせまで提案
最初に試したのは、「食材・気分」の入力欄に「がっつり」「おまかせ」とだけ送るパターンです。未来さんは800kcal目安と判断し、セブン-イレブンの「和風豚角煮定食」(豚角煮、千切りキャベツ、鮭おにぎり、豚汁の組み合わせ)と、ローソンの「チキンカツプレート」(厚切りロースカツサンド、スモークタンレモン、野菜ジュースの組み合わせ)を提案してきました。
具体的なコンビニ名と商品名まで踏み込んだ提案だったので、続けて「2つのカロリー差を教えて」と聞いてみました。豚角煮定食が約780kcal、チキンカツプレートが約820kcalで、差は約40kcal。どちらも目標の800kcal前後に収まっているという回答でした。
提案通りにセブン-イレブンで買ってみたところ、カロリーに関しては回答をやや下回る結果に。ただ、これは未来さんが言った「カップの豚汁」の解釈の問題で、筆者の購入した常温のカップ商品ではなく、チルド商品を想定していた可能性がありそうです。
実際に提案メニューを食べたところ、違和感なくおいしく食べられました。考える気力もない日にはかなり重宝しそうです。
朝・昼の記録を踏まえて、不足した栄養を夜に補う提案
2つ目は、朝食・昼食を記録した状態で夕食を相談するパターンです。未来さんの方から「次の食事はどんなご予定ですか?」と話しかけてきます。「コンビニ・スーパーで買いたい」「肉料理、和食」と答えると、500kcal目安で「生姜焼き定食」と「鶏肉のすき煮セット」の2案が出てきました。
「鶏肉のすき煮セット」を選ぶと、カロリー・たんぱく質・脂質・炭水化物・副菜の5項目を○×で示す栄養素テーブルが表示され、いずれも「整う」という判定でした。サラダを足した代替案(彩り野菜と鶏肉のすき煮セット)も合わせて提示され、選んだ献立をベースに微調整できる構成になっています。
外食選びでは、肉の部位選びまで踏み込んだアドバイス
3つ目は、「外食の予定がある」「ヘルシー」と伝えるパターンです。未来さんは、たんぱく質や副菜が控えめになっている日だと指摘し、500kcal目安で「焼き鳥セット」と「和食店のヘルシー定食」を提案してきました。
焼き鳥セットでは、「タレより塩を選び、皮・ぼんじり以外の部位を中心に」「ささみや砂肝などのたんぱく質が豊富な部位を選ぶのがおすすめ」という、店頭での選び方まで踏み込んだ助言が添えられていました。「どっちを選んでも大丈夫?」と聞くと、たんぱく質重視なら焼き魚、さっぱり小分けに食べたいなら焼き鳥という選び分けの基準を答えてくれました。
間食についてもアドバイス可能で、夕食までの間食について相談すると、ビタミンEとマグネシウムが摂れる素焼きナッツが提案されました。
冷蔵庫の在庫を無駄なく使い切る提案
4つ目は、冷蔵庫にある食材を伝えるパターンです。「卵、豆腐、おまかせ、鮭」と入力すると、800kcal目安で「鮭と豆腐の具だくさんちゃんちゃん焼き定食」と「鮭の卵とじ定食」の2案が出てきました。伝えた4つの食材が、2つの案にそれぞれ分散して使われています。卵とじ定食を選ぶと、「ちゃんちゃん焼きの作り方を教えて」「調理時間はどのくらい?」という調理サポート方向の質問候補も表示。メニューを決めるだけでなく、その先の調理まで支援する設計になっています。
開発元に聞く、「提案型」機能の狙いと仕組み
実際に使ってみて気になった点を中心に、askenの広報担当者に質問してみました。「記録→フィードバック型」の設計である『あすけん』に、なぜ「提案型」の機能を加えたのか。そう聞くと、asken担当者は「利用者の方からは『記録は続けられるようになったけれど、次に何を食べればいいのかが分からない』という声が多く寄せられていました」と振り返ります。記録によって現状は分かっても、次の一食を決める部分までは支えきれていなかった、という課題認識です。
これに加えて、生成AIの普及で「対話しながら相談したい」というニーズが高まっていたこと、クローズドβテストでも「次に何を食べるか」の相談が上位を占めていたことから、記録を起点に次の一食を一緒に決められる「提案型」の機能を開発したといいます。
クローズドβテストの自由記述では、次のような声が多く挙がったそうです。
- 「冷蔵庫にある食材をもとに献立を考えてくれて、本当に良い相談相手だった」
- 「自分では思いつかない、普段選ばない食材を提案してくれて、メニューの幅が広がった」
- 「家にあるもので作れる提案が助かる」「これを食べれば大丈夫、という安心感がある」
- 「カロリーの目安が明確で、自分に合った量だと感じられた」
asken担当者は「記録という自分のデータを踏まえた提案だからこその安心感・納得感を評価いただく声が中心でした」と説明します。
また、未来さんが献立を組み立てる際に踏まえている情報について、asken担当者は次の4点を挙げました。
- 食事記録(前日・当日の記録)と、目標摂取カロリー
- いま整えたい栄養(不足・過剰の状況)
- その時の気分や状況(「コンビニで済ませたい」「冷蔵庫の余り物を使いたい」など、チャットで伝えた内容)
- 苦手な食材(過去のやり取りから蓄積)
栄養士の監修がどの段階に反映されているかについては、「個々の提案を1件ずつ事前チェックしているわけではなく、主に提案ロジック(ルール)の設計段階に反映している」ということでした。PFCバランスや一食あたりの目安量といった栄養学にもとづく判断基準、「極端に食事を抜く・減らす提案はしない」といった安全面のルールなどを、あすけん栄養士の知見としてロジックに組み込んでいるといいます。
なお、本機能は健常者向けで、疾患やアレルギーへの個別対応はサポート対象外とのこと。持病やアレルギーがある場合は、提案をそのまま採用せず、自身の状況に合わせて確認する必要があります。
将来的には「提案した献立をそのまま記録」する機能も検討中
検証では、栄養素テーブルの判定が4パターンともすべて「整う」(○)でした。この点について尋ねると、判定は3段階で表示されているとの説明がありました。
- 整う(基準値の90%以上)
- あとちょっと(60~89%)
- まだ不足(60%未満)
「ご覧いただいた4パターンがすべて整う(○)だったのは、未来さんがその一食で栄養を整えることを前提に献立を組み立てているためです」(asken担当)。不足しがちな栄養がある場合は、不足分を補う食材を加えた構成にし、それでも補い切れない場合に「あとちょっと」や「まだ不足」として表示されるとのことです。過剰になりやすい栄養素は、量や食材を調整して抑える方向で提案するといいます。カロリーや栄養素の精度は、β版として現在も改善を続けている段階だそうです。
月10回という利用回数の上限について、asken担当者は「ユーザーに価値を十分に体験いただけることと、安定的に提供できる運用体制(コストを含む)のバランスから設定した」と話します。社内検証では、一定回数を使ったユーザーほど満足度が高まる傾向が見えているそうです。利用回数枠を広げた上位プランも予定しているとのことですが、提供時期・料金・条件は現時点では未確定とのことでした。
β版から正式版への移行時期は、現時点では未定。今後の機能強化としては、提案した献立をそのまま食事記録に反映するような連携や、提案の精度・多様性のさらなる向上といった方向で検討を進めているとのことでした。
一緒に食事を考えてくれる機能で、有料版の価値がより高まった
よかった点は、入力の手間が少ないまま、具体的な店舗名・商品名・部位の選び方まで踏み込んだ提案が返ってくることです。記録を踏まえた栄養バランスの判定が表形式で見える化されている点も、自分で栄養素を計算する負担を減らしてくれます。また、提案された献立をそのまま記録してくれたら、記録時の手間がかなり減ってより快適になりそうですね。
気になった点は、月10回という利用回数の上限。1日に複数回の相談を重ねると、あっさり枠を使い切ってしまいそうで、深い対話はためらわれる印象でした。担当者への質問で、社内検証では一定回数を使ったユーザーほど満足度が高まる傾向が見えているとのことなので、今後の調整に期待したいところです。
無料でも使えるあすけんですが、「AIこんだて提案(β版)」の実装によって、「あすけんプレミアムサービス」に加入する利便性が高まったといえそうです。プレミアムサービスの料金は、2026年8月18日(iOS)・9月17日(Android)以降に改定が予定されています。実際に使ってみたい人は、お早めに一度試してみてもいいかもしれません。



