「We Overtake Tesla」掲げるTuring、カメラ7台と車載計算機で完全自動運転へ
Turing、カメラ7台と車載計算機で完全自動運転へ

「We Overtake Tesla(テスラを超える)」という野心を掲げるのは、2021年設立の自動運転スタートアップ、Turing(チューリング、東京都大田区)だ。同社は、世界でまだ誰も成し遂げていない「完全自動運転」(レベル5)の実現を目指している。

その戦略は興味深い。米Teslaは、自動運転AIだけでなく、車体の設計から製造まで自社で手掛けている。一方のTuringは、市販車にいくつかのカメラとセンサーを搭載するだけだ。同社の山本彩(やまもと あや)氏(執行役員CTO)は「AIの部分の性能をひたすら上げれば、センサーがたくさんなくても、センサーが高性能でなくても、市街地で非凡に賢い自動運転ができると信じて、ここまで開発してきた」と語る。

GPUより速いチップで開発の裏側を公開

既に東京や大阪など国内5都市などで、自動運転の実証走行を成功させている。AIの性能を支えているのが、膨大な量の走行データを学習し続ける仕組みだ。しかし、データ量とGPU(画像処理半導体)の数をただ増やすだけでは、開発のスピードは上がらなかったという。その壁をどう乗り越えたのか。山本氏が、AI開発の裏側を明かした。

本記事は、グーグル・クラウド・ジャパンが主催したイベント「Google Cloud Next Tokyo 26」(7月30〜31日開催)の講演セッションから「End-to-End 自動運転開発を加速するデータセントリックな GPU 計算基盤」を取材したもの。

トヨタ「アルファード」を改良、カメラ7台で走る自動運転車

大阪・吹田の市街地を、1台のミニバンが走る。信号で止まり、右左折では歩行者や自転車の横断を待ち、狭い路地では人の間を縫って進む。運転席の人間は、ハンドルにもアクセルにもブレーキにも触れていない──この車を運転しているのが、TuringのAIだ。

実はこのAIが大阪の道を走るのは、これが初めてだった。「ほぼ東京のデータでしか学習していない。全く見たことがない道を初見で走って、このくらいの性能が出ている」(山本氏)

自動運転車といえば、屋根や車体の周りにセンサーをたくさん積んだ姿を思い浮かべる人が多いだろう。レーザーで周囲との距離を測るLiDAR(ライダー)やレーダーを何重にも組み合わせ、センサーを頼りに安全を確保するのが、業界の一般的な考え方だった。

Turingの車両は対照的だ。市販のミニバン、トヨタ自動車の「アルファード」を改良している。死角ができないよう、前に2台、左右に計4台、後ろに1台のカメラを配置。他に積むのは、揺れや加速度を測るセンサーと衛星測位の受信機、そして車載計算機だけである。

E2E自動運転とは何が違うのか

この車両に、高性能なAIを搭載して自動運転を実現している。これを可能にする技術が「E2E(エンドツーエンド)自動運転」だ。

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