ソフトバンクグループ(SBG)は、生成人工知能(AI)向けの半導体開発に総額1.5兆円(約100億ドル)を投資する方針を固めた。関係者によると、SBGは2025年までに自社設計のAI半導体を量産し、グループのデータセンターで利用する計画だ。この巨額投資は、AI分野で急速に進む競争に対応するための布石とみられる。
自社開発チップで競争力強化
SBGは、英半導体設計大手アームの技術を活用し、AI向けに特化した半導体を開発する。アームは2023年にナスダックに再上場しており、SBGは約90%の株式を保有している。SBGの孫正義会長兼社長は、AI時代に不可欠な半導体を自社で調達することで、競争力を高める狙いがある。投資額1.5兆円は、2024年6月期のSBGの連結営業利益(約1.3兆円)を上回る規模だ。
生成AI市場は、米オープンAIの「ChatGPT」やグーグルの「Gemini」などが牽引し、急拡大している。これに伴い、AI処理に適した半導体の需要も高まっており、エヌビディアが市場を席巻している。SBGは、アームの省電力設計を生かした独自チップで、エヌビディアに対抗する可能性もある。
データセンター投資も加速
SBGは半導体開発と並行して、AI向けデータセンターへの投資も加速する。2024年7月には、米国でAIデータセンターを建設するための特別目的会社(SPC)を設立し、総額1兆円規模の投資を計画している。これらのデータセンターには、自社開発のAI半導体が搭載される見込みだ。
SBGの投資戦略は、グループ全体のAI関連事業を強化する方向にシフトしている。2023年には、AI関連スタートアップへの投資を拡大しており、米国やイスラエルのAI企業に出資している。また、SBG傘下の英半導体設計会社アームは、AI向けプロセッサの設計で知られ、アップルやエヌビディアなどが顧客となっている。
競合との差別化が課題
SBGの計画は、AI半導体市場でエヌビディアや米AMD、インテルなどと競合することになる。エヌビディアはAI半導体で圧倒的なシェアを誇り、2024年2月期の売上高は約7兆円に達した。SBGはアームの技術を基に、より省電力で低コストなチップを開発することで差別化を図る。
また、SBGはソフトバンク(通信子会社)を通じて、国内のAI関連サービスも強化している。2024年4月には、法人向けに生成AIサービス「SB OpenAI」を提供開始した。このサービスは、オープンAIの技術を活用し、企業の業務効率化を支援する。
SBGの投資計画は、AI半導体の需要拡大を見越したものだが、巨額投資の回収には時間がかかる可能性もある。半導体業界は、需要の変動が激しく、投資リスクも大きい。SBGは、アームの技術と自社の資金力を生かし、AI分野での存在感を高められるかが問われる。



