シニア世代が人工知能(AI)を学ぶ機運が高まっている。作曲や小説の執筆といった難易度が高い趣味でも、生成AIを用いれば容易にこなせる。AI教室に参加することで社会とのつながりができ、定年後の孤独解消にもつながると期待される。
利用者の約9割が50代以上
AI学習支援事業を行う「スケールエーアイ」(東京都新宿区)のAI教室「スタートAI」は、利用者の約9割が50代以上だという。動画による講座やウェブで参加するオンラインセミナーに加え、月に1、2回は東京都内などで対面の講習会も実施している。
7月に東京・新宿で行われた講習会には約40人が参加した。冒頭、教室の栗須俊勝学長は、AIの学習にはこれまでのキャリアや上手い下手は関係なく、勉強して技術の進歩に追い付くことでだれでも使いこなせるようになると強調。「AIにずっと触れ続けてもらいたい」と語った。
AIを通じて交流も
講習会は4~5人ずつのグループに分かれ、自己紹介から始まった。対話型AI「チャットGPT」を用いて自分の性格を診断したり、写真を使って自己紹介のポスターを作ったりした。年齢や住んでいる場所もバラバラな参加者が、AIを通じて交流を深め、参加者同士で教え合う場面も見られた。
埼玉県からきた会社員男性(52)は、昨今のAI技術の発展を背景に「ちゃんと教えてくれる場所で、しっかりと体系的に学びたい」と昨年6月ごろ入会した。現在は、仕事で必要なデータの分析などにAIを活用するほか、趣味としてAIを用いて小説を書き始めた。AIを学ぶうちに、「『これAIでやったらどうなるかな』と自分の中で考えるようになり、どんどん試してみたくなった」と話した。
新しい友達づくりにも
愛知県の女性(75)は今年の6月に入会し、対面の講習会には初めて参加。「技術的なことが何もできないから、何かできるようになりたい。こういう場に来たら何かつかめるかもしれない」との思いで来たという。講習会後に、この日出会った同世代の女性たちとLINEのグループを作ったといい、「新しい友達もできて、(講習会に)来てよかった」とうれしそうだった。
栗須学長は「AIは使う人の知能に合わせてくれる。使いこなせたら武器になる」と説明し、AI教室の活動を続ける上で「シニア世代の方がAIエンジニアになるというような、AIが『第二の輝ける場』になることを目指している」と語った。



